15:名無しNIPPER[saga]
2021/02/27(土) 22:52:35.47 ID:2kLflUvfO
「そうだ、強盗だ」
「あ、本当に強盗だったんだ」
16:名無しNIPPER[saga]
2021/02/27(土) 22:54:43.15 ID:2kLflUvfO
「なんというか、まあ下策だね」
笑いながら彼女は言った。
「このご時世に、刺すだの殺すだのなんてさ」
17:名無しNIPPER[saga]
2021/02/27(土) 22:56:10.63 ID:2kLflUvfO
彼女はゆっくりと歩いた。
僕は自転車を押してその後に続いた。
二人分の足音と自転車の車輪が回る音が、
夕暮れの無人の街に、やけに大きく響いた。
18:名無しNIPPER[saga]
2021/02/27(土) 22:58:20.82 ID:2kLflUvfO
英語は苦手だったけれど、
冒頭の歌詞だけははっきり聞き取れた。
“バイバイ、ミス・アメリカンパイ”
19:名無しNIPPER[saga]
2021/02/27(土) 23:01:08.28 ID:2kLflUvfO
***
十数分ほど歩き、暗くなる前に到着したのは似たような家が建ちならぶ住宅街で、
20:名無しNIPPER[saga]
2021/02/27(土) 23:03:33.01 ID:2kLflUvfO
ギターを適当に床に転がして、彼女は僕の方を見た。
「お腹減ってるんだよね。なんか作ろうか?」
21:名無しNIPPER[saga]
2021/02/27(土) 23:08:46.73 ID:2kLflUvfO
調理にそう時間はかからず、僕が待ちくたびれる前に彼女は料理を完成させた。
ダイニングテーブルに配膳されたのはシンプルな山盛りの牛丼で、
呼ばれて席に着くや否や、僕は一も二もなくがっついた。
22:名無しNIPPER[saga]
2021/02/27(土) 23:10:47.24 ID:2kLflUvfO
フードファイターもかくやというスピードで飯を平らげて
膨れた腹をさする僕に向かい、
さて、と彼女は言った。
23:名無しNIPPER[saga]
2021/02/27(土) 23:14:00.08 ID:2kLflUvfO
「身体で、というと」
僕はごくりと唾を飲んだ。
「エロい意味ですか」
24:名無しNIPPER[saga]
2021/02/27(土) 23:17:56.56 ID:2kLflUvfO
「さて、わかりやすい取引を提示しよう」
彼女はどこからか一枚の紙を取り出して、僕に手渡した。
25:名無しNIPPER[saga]
2021/02/27(土) 23:22:48.95 ID:2kLflUvfO
「なんつーか」と僕は言った。「俗っぽい」
俗で何が悪い、と彼女は憤った。
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