ロード・エルメロイU世の事件簿 case.封印種子テスカトリポカ
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名無しNIPPER
[saga]
2020/09/21(月) 20:24:43.10 ID:amUbMXcr0
だから、訊ねた。
「師匠、本当に行く必要があるんですか?」
視線を向け直して、師匠と相対する。
師匠もまたソファに座り直し、こちらを正面に捉えた。いつもの藪睨み気味の瞳に真剣さを宿らせて、短く言い切る。
「ああ、ある」
「では、お供します」
「……いや、待て待て」
横からライネスが声を上げた。頭痛でも堪えるように額を押さえている。
「私の話を聞いていたかい? 今回の件は本当に危険なんだぞ。考古学科の精鋭調査チームまでもが壊滅するなんて常軌を逸してる」
「……でも、師匠の頼みですから」
ライネスが心配してくれているのは分かるが。
師匠があるというのなら、あるのだろう。その手助けを自分はしたい。
それでも彼女の気遣いを無為にするような形になってしまったことに、申し訳なくなって視線を向ける。ライネスは自分の視線にうっ、と息を詰まらせるように身体を震わせると、やがて溜息を吐きながら頭を振った。諦観。そんな形容が相応しいだろうか。
「……そ、それに。師匠は無茶はしても無理なことはしないと思いますし」
そんなライネスの様子に、つい、言い訳するような言葉が口をついて出てしまった。縋る様に師匠の方を見る。
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