ロード・エルメロイU世の事件簿 case.封印種子テスカトリポカ
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名無しNIPPER
[saga]
2020/09/21(月) 20:28:01.63 ID:amUbMXcr0
「じゃあ、どうするんですか?」
「魔術師としての格はどう考えてもこちらの方が低いのだから、彼らと同じ方向で考えても同じ轍、いやそれ以下を踏むだけだ。つまり、我々は考え方を根本から変えねばならない――その内のひとつとして、こんなものを用意した」
そういって、師匠がポケットから何かを取り出し、机の上に置く。
「……携帯電話?」
黒い樹脂製の直方体。ボタンの配置などは自分も持たされている携帯電話にそっくりで――つまるところ、どう見ても携帯電話にしか見えなかった。
「ふむ。とはいえ、件の密林では電波など入らないぞ? マナと地脈の関係で魔術による通信も不可能だ」
横から覗き込んでいたライネスも首をひねっている。
どうやら魔術的にも外部から隔絶された土地らしい。であるからこそ、古代魔術の遺跡などというモノが手つかずで残っていたのだろうが。
集中する自分達の視線に、師匠はいつもの調子で講義を始める。
「まず前提として、我々が遺跡の探索をして無事に帰ってこられる、という目はないものと考えていいだろう――我々より能力も経験もある専門のチームが失敗しているのだからな。多少の創意工夫で魔術師としての実力差を覆せるなら、私はとうの昔に色位にでもなっているさ」
「そこで冠位と言わないあたり、兄上殿の器も知れるというものだが」
ライネスが茶々を入れる。楽しそうな嘲りを浮かべながら、しかし少しだけ真剣な光を瞳に宿して、
「無事に帰ってこれない? ならば出立の許可など出せないぞ。忘れてやしないだろうが、エルメロイへの借りを全て返済しきるまで、君は髪の毛からつま先に至るまで私の所有物だ」
「人の話はきちんと聞け。私はこう言ったんだ――"遺跡の探索をすれば"、無事に帰ってこられないと」
実に単純な論理を説明するように、師匠はその方策を告げた。
「ならば話は簡単だろう――遺跡の探索をしなければいいだけのことだ」
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