78: ◆eBIiXi2191ZO[sage saga]
2020/09/19(土) 15:35:31.72 ID:+7YhSCXJ0
「……あの、先生」
「はい」
「最近、楽しく感じていないんです……いえ、仕事のことではなくて、お酒のことで」
「ほう、高垣さんはお酒をたしなまれるんですか。うらやましいですね、私はさっぱり呑めないので」
79: ◆eBIiXi2191ZO[sage saga]
2020/09/19(土) 15:36:05.81 ID:+7YhSCXJ0
私のなにかが、切れた音がした。ぽたり、ぽたり、と。
涙が、こぼれはじめた。
「これって……なんなのでしょう? 先生……これ、なんですか? 私」
80: ◆eBIiXi2191ZO[sage saga]
2020/09/19(土) 15:36:34.33 ID:+7YhSCXJ0
※ 今日はここまで ※
ではまた ノシ
81:名無しNIPPER[sage]
2020/09/19(土) 17:23:52.23 ID:dJkO+Hwwo
乙
82: ◆eBIiXi2191ZO[sage saga]
2020/09/20(日) 22:03:55.44 ID:LTP9DQ6S0
投下します
↓ ↓ ↓
83: ◆eBIiXi2191ZO[sage saga]
2020/09/20(日) 22:04:40.66 ID:LTP9DQ6S0
私とちひろさんは、私のマンションには戻らず、事務所へと戻った。
ちひろさんは家でゆっくりと言ってくれたけれど、私がお願いした。
ちひろさんと会議室でふたり、クリニックでの出来事を振り返っていた。
84: ◆eBIiXi2191ZO[sage saga]
2020/09/20(日) 22:05:19.07 ID:LTP9DQ6S0
「そうですか。分かりました」
社長さんはそう言うと、私たちをソファーへと案内する。
85: ◆eBIiXi2191ZO[sage saga]
2020/09/20(日) 22:05:45.78 ID:LTP9DQ6S0
今日伺った先生のところは、芸能人がよく行くところだと聞いた。
何らかのきっかけがあって芸能人かあるいはその関係者が診てもらい、その評判が広がって、今のような状態に落ち着いたのだろう。
もちろん先生も商売だろうから、芸能人を受け入れるというのは、特別な配慮をしてもなお『美味しい』と感じる、そういうものがひょっとしたらあるのかもしれない。
いずれにせよ、悪い先生のようには感じられなかった。
86: ◆eBIiXi2191ZO[sage saga]
2020/09/20(日) 22:06:14.17 ID:LTP9DQ6S0
「これが、気持ちを前向きにする薬。これが朝晩の二回。それと、寝付きをよくする薬で、これは寝る前に一錠、ですね」
私は会議室で、ちひろさんと薬の確認をしていた。
出された薬は、ミルナシプラン、というものと、エチゾラム、というものだった。
87: ◆eBIiXi2191ZO[sage saga]
2020/09/20(日) 22:06:41.19 ID:LTP9DQ6S0
あれ?
今、私、笑った?
88: ◆eBIiXi2191ZO[sage saga]
2020/09/20(日) 22:07:07.27 ID:LTP9DQ6S0
おかしくて、笑う。ただ、それだけのことなのに。
当たり前のことなのに。
私にはひどく懐かしく、思えたのだ。
なぜ今ここにきて、私は笑えたのだろう。その理由が私にはさっぱり分からない。
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