高垣楓「あなたがいない」
1- 20
86: ◆eBIiXi2191ZO[sage saga]
2020/09/20(日) 22:06:14.17 ID:LTP9DQ6S0

「これが、気持ちを前向きにする薬。これが朝晩の二回。それと、寝付きをよくする薬で、これは寝る前に一錠、ですね」

 私は会議室で、ちひろさんと薬の確認をしていた。
 出された薬は、ミルナシプラン、というものと、エチゾラム、というものだった。
 ミルナシプラン。薬の説明紙には『気分を落ち着かせ、前向きにするお薬です』と書いてある。
 先生が少し説明してくれたけれど、飲めばすぐに効く、という薬ではないのだそうだ。
 まず飲んで体調が悪くならないか確認して、大丈夫なようなら続けていこう、と。そういう方針で出されたものだった。

 エチゾラム。いわゆる睡眠薬なのか、と思ったのだけれど、これは『不安を取り除くお薬です』と書いてあった。
 抗不安薬、と言うらしい。

「私は、ドキドキ落ち着かなくなる場合とか、緊張して不安で仕方ない時に飲んでくださいって、出されましたけれど」
「そうなんです、ね?」

 ちひろさんの説明に、私は相槌を打つしかない。
 実際よく分かっていないので、ふうん、という思いでしかないのだ。

「ただ、飲むと確かに急に眠くなるんで、ああ、睡眠薬だって思いましたよ?」

 そういうちひろさんが妙におかしくて、私はくすりと笑ってしまった。




<<前のレス[*]次のレス[#]>>
216Res/171.18 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 書[5] 板[3] 1-[1] l20




VIPサービス増築中!
携帯うpろだ|隙間うpろだ
Powered By VIPservice