48:名無しNIPPER[saga]
2021/11/14(日) 23:11:40.72 ID:8SQh1bWVO
アークスは元々メンバーが五人で、加入が決まって先輩たちに初めて会った時、そのオーラの凄さに愕然とした。
茜ちゃんはオーディション中に確かに目を惹く存在ではあったし、歌唱力やダンスのキレもレベルが高かったけれど、彼女たちはそこにいることだけで存在を主張する何かがあった。そこにいるだけで、彼女たちが何かに選ばれた存在であることが分かってしまった。
「み、三森彩です。よろしくお願いしますっ」
テレビで見る人たちだから緊張したわけではない。彼女たちの存在感に気圧されて、声が上擦ってしまった。横にいる茜ちゃんも同じようで、「江端茜です。あの、えっと、よろしくお願いします」と声にするのに苦労していた。
私たちは、私は、こんな先輩のようにオーラを纏うことができるのだろうか。特別になれるのだろうか。
そんな不安を抱きつつ、新体制になって初めてのダンスレッスンが始まった。ダンスの経験も無い私は振り入れするのも特異じゃなくて、もちろんキレなんてものもあったもんじゃない。それに対して茜ちゃんは、加入前のダンス経験を活かしてあっという間に振りを覚えてしまい、何なら先輩たちに頼られるようなところまであった。
一人しかいない同期、それも年下の彼女の方が、明らかに求められている能力に優れている。
仕方の無いことだ。オーディションに受かってからがスタートラインであるということは自分で言い聞かせていたはずなのに、どうしても焦る自分がいた。
身の丈にあっていない場所に来てしまったんじゃないかと。私には無理だったんじゃないかと。
そんな気持ちを誰かに吐き出すことも出来なくて、大学とレッスンを繰り返していた時のことだった。
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