アイドルと僕
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49:名無しNIPPER
2021/11/14(日) 23:23:43.80 ID:8SQh1bWVO
「彩、最近大丈夫?」

もうすぐ加入が発表されるという頃の大学からの帰り道、いつもの四人組の中で一人だけ私と帰り道が同じねるがそう問いかけて来た。

「え?」

何が、とは問い返さなかった。ダンスレッスンやまだ発売されてはいない雑誌の撮影、お披露目用のYouTubeの撮影など、オーディションに合格してというものの、私はそれまでとは比べ物にならないくらい多忙な日々を過ごしていた。きっと、外から見て分かる程度には、私は疲れているんだと思う。

本当だったら彼女たちにも「アークスに加入するんだ」と伝えるべきだったんだろうけれど、まだ一般に公表されていないということもあって伝えられずにいた。以前、茜ちゃんに「友達とかには話したの?」と聞いてみたら、受けていることを知っているような親友には話したと返されたけど、オーディションを受けること自体を伝えられていなかった私がいきなりそれを話すのもという気持ちがあった。

だからこそ、私がなぜこうなっているのかということを説明することはできなかった。

「大丈夫、だよ?」

努めて明るい笑顔を作ってみせた。ぎこちないことに自分でも気がついた。女優路線を目指すのであれば、もう少し演技の練習も必要になるかもしれないなと自分でも思う。

「それなら良いんだけどさ」

深く聞かずにいてくれたのは、彼女なりの優しさだったんだろう。もしくは、どうせ聞いても理由は話さないと諦めているからなのかもしれない。


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