アイドルと僕
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47:名無しNIPPER[saga]
2021/11/14(日) 22:56:47.71 ID:8SQh1bWVO
アークスのオーディションを受けることを決意したのは、自分に自信がないからだった。

私には特別な才能は無い。例えば誰よりも知性があるわけでもなく、運動神経が良い訳でもなければユーモア溢れる会話ということも出来ない。私に出来ることは、他の誰にでも出来ることでしかなかった。

私よりしっかりしている人も、面白い人も、賢い人も、おしゃれな人も、きっと世の中にはいっぱいいる。

そんな時に、アークスの新メンバー募集のオーディションが開かれることを知った。

どうせ私なんかにという気持ちと同じくらい、希望があった。アイドルになれば、きっと私は特別な誰かになれると想っていた。勘違いしていた。

幸い、顔立ちには自信があった。というよりも、色んな人から褒めてもらえる唯一の点がそれだったというだけのことだ。

「可愛いね」

「モテるでしょ?」

周りからのそんな言葉を真に受けていた訳じゃないけれど、実際、男子から愛の告白というものを受ける機会は人よりも多かった気がする。最初の頃は嬉しかったけれど、途中からは同性からの僻みを鬱陶しく感じてはいたんだけれど。キラキラ輝く、みんなに憧れられるアイドルになれば、きっと私も特別になれると思っていた。

チャンスは今しかない、と奮起してオーディションを受けることにしたのは、大学に入学してねるや栞たちと知り合って直後のことだった。オーディションを受けるんだ、とは口に出来なかった。自分に自信がある人のように思われるのも嫌だったから。

書類審査、二次審査と審査はトントン拍子で進んで、幸いにも私はオーディションに合格することができた。一緒に受けていて仲良くなった子たちはどんどん落選していって、合格したのは私ともう一人、まだ高校一年生の茜ちゃんだけだった。


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