17: ◆yufVJNsZ3s
2020/08/14(金) 08:32:57.14 ID:QdYqO6ws0
「テレビゲームとかは全然なくって、そもそも町におもちゃ屋がなくって。家で遊んでることはあんまりなかったですね。今? 今は、ほら、反動ですよ。
トンネルが多いんですよ。ほら、海岸のとこ。山を抜いて作った、ああいうのがいくつもあるんです。お化けが出るとかいう噂もあったなぁ。夏が来るたびに肝試ししよう、しようって話してたんですけど、結局一度もやらずじまいでした。
あそこに神社があって、境内で夏と秋にお祭りするんです。御神輿も出ました。わたしは御神輿の上で笛を吹く役目で、それって凄いことなんですよ? このあたりじゃ一番うまかったんですから」
18: ◆yufVJNsZ3s
2020/08/14(金) 08:34:24.84 ID:QdYqO6ws0
そこでようやく俺の方を向いた。目が合う――視線が、壮絶な過去と、それに裏付けられた強さを伴って、俺の胸を打つ。
漣の話は言ってしまえば田舎によくある、日本中どこにでも見られる話にすぎない。だからといって価値がない、どうでもいいということになるはずもなく。
「どうですか? 海岸線を走る鉄路。駅。街中。品種改良センターと農業機械の工場。水田。畑。畦道。ぼろっちい国道。サイロ。森。山。海。この景色。町の跡。わたしの故郷はこれだけです。有りふれた、大したことのない、ちゃちな風景。歴史。それがわたしの故郷なんです」
19: ◆yufVJNsZ3s
2020/08/14(金) 08:35:02.03 ID:QdYqO6ws0
「開発が、始まるそうです」
「……」
20: ◆yufVJNsZ3s
2020/08/14(金) 08:35:57.05 ID:QdYqO6ws0
「俺のくにも、一度ぐちゃぐちゃになっててな」
だから、何の気もない世間話をするかのように、唇から滑り出ていく。
21: ◆yufVJNsZ3s
2020/08/14(金) 08:36:35.40 ID:QdYqO6ws0
「漣」
「なに?」
22: ◆yufVJNsZ3s
2020/08/14(金) 08:38:13.97 ID:QdYqO6ws0
――――――――――――――
おしまい
艦これ要素が消えた。
明日に大井の短編を一本上げる予定です。
23:名無しNIPPER[sage]
2020/08/14(金) 10:43:23.61 ID:mHdB99PTo
おつおつ
ありがとう
24:名無しNIPPER[sage]
2020/08/14(金) 12:30:09.37 ID:yKB0Rylco
おつ
25:名無しNIPPER[sage]
2020/08/14(金) 20:49:37.16 ID:WSh9eeuSO
おつです。
山城の話、ゆっくり書いてくださいな。
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