19: ◆Rin.ODRFYM[saga]
2020/08/09(日) 23:35:59.35 ID:S7yVE8bX0
「どれにする?」
満面の笑みでおにぎりをもぐもぐとしている彼が背後から、私に訊ねる。
ので、「んー。これは? プロデューサー、できる?」とグローブとボールを持って、彼に見せてみた。
「めちゃくちゃに、できる」
「嘘でしょ」
「いやいやいや、神の子ピー君って呼ばれてるんだからな」
「はいはい」
「アイドルが大好きだし」
「本家の人に一回怒られてきなよ」
「体育会系の人は怒らすとハチャメチャに怖いからヤダ」
「そこに関しては、右に出る人いなさそうだもんね」
「何が」
「人を怒らすの」
「不名誉なナンバーワンだ」
「事実でしょ」
彼が野球が上手いかどうかは、実際にやってみればわかるだろう。
「じゃあ、とりあえずはこれと……あとはよくわかんないからプロデューサーに任せていい?」
「んー」
それから、彼は雑にあれこれと選んでは大きなトートバッグへと放り込んでいく。
やがて入りきらなくなった頃合いで「よし!」と歯を見せた。
「あ、ごめん。お茶も追加で買ってきたらよかったね」
「安心して。さっきのあれ、水出しもできるから」
「あれはもうやめて」
「なんで」
「水出しって時間かかるし、第一公園の水道で水出しのお茶作ってるの、人に見られたらどうするの」
「記事になるだろうな」
「アイドル渋谷凛、公園で緑茶を水出し!? って?」
私のその発言が思い切りつぼに入ってしまったのか、彼は目の端には涙を浮かべてお腹を抱えていた。
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