18: ◆Rin.ODRFYM[saga]
2020/08/09(日) 23:35:16.42 ID:S7yVE8bX0
○
彼が寝ているうちに、と着替えが行える付近の施設を探して、私はジャージへの換装を終える。
少々探すのに手間取ってしまったこともあり、小走りで車へと戻ると、彼も同じことを考えたのか既にスポーツウェアに着替えていた。
「以心伝心説が有力になってきた感じするな」
「そうかな」
「凛、その格好で変装してるとすごいガラ悪いな」
「ジャージにサングラスはどうかな、って私も正直思ったけど、普通それ言う?」
「あはは、ごめんごめん。ってか、何あの写真」
「あんまりかわいくない寝顔」
そりゃあトップアイドル様と比べられたらそうですよー、などと言って、彼は小石を蹴り飛ばすような仕草をする。
「起こしてくれたらよかったのに」
「そっくりそのまま返すよ」
「そこは、ほら。昨日も仕事だったし現場暑かったし、疲れてるだろうなあ、とか。多忙なのに俺なんかとオフに遊んでもらって悪いなぁ、とか。いろいろさぁ」
「それもそっくりそのまま返す。あと、悪いじゃないでしょ。その言い方はやだ」
「じゃあ、あれだ。幸せだなぁ」
「それでよし。あ、それとお腹すいてない?」
「え、何。なんか買ってきてくれたの?」
「んーん。おにぎり、朝作ってきてさ。はい、これ」
「大事にします」
「いや、食べてよ」
「まずは写真撮ってから……」
ふざけているのか本気なのか、よくわからないけれど、よろよろと携帯電話を運転席まで取りに行った彼を放置して、私は後部座席のドアを開ける。
積み込まれている物を改めて見ると、どう考えても一日で使用する数ではない。
これだけあれば、一週間は毎日違う遊びができそうだった。
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