17: ◆Rin.ODRFYM[saga]
2020/08/09(日) 23:34:39.40 ID:S7yVE8bX0
○
足を組んで座ったまま寝落ちしてしまっていたせいか、おかげか。
ぴりりと痺れる爪先の感覚で私は目を覚ました。まだぼんやりとした意識の中、周囲を見渡してみる。
隣、椅子を倒して気持ち良さそうに寝ているプロデューサー。
これは、私が起きるのを待ってみたものの、想定よりも私が長く眠りこけているものだから待ちくたびれて彼も寝てしまったのだろう。
私の上、柔らかなタオルケット。
ふんわりと胸の上から膝辺りまでを包んでくれているそれは、私が冷房で体調を崩してしまわないように彼がかけてくれたに違いがなく、冷気が私に直接当たらないように冷房の吐き出し口もわざわざ向きが変えられている。
どこまでも気が利くやつめ、と思いながら私は鞄から携帯電話を取り出して、その寝顔を撮ってやった。
流れるように撮影した写真を彼に送りつけようとメッセージアプリを開いたところ、三十分ほど前に彼からメッセージが届いていたことを知る。
それは『かわいい』という四文字と、私の寝顔の写真だった。
誰に見られているわけでもないが、意図せず全く同じ行動をしてしまっていたことに若干の気恥ずかしさを感じつつも、同様に私も写真を送り返す。
添える文章は、こうだ。
『あんまりかわいくない』
32Res/40.69 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
書[5]
板[3] 1-[1] l20