ハートの融点
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16: ◆Rin.ODRFYM[saga]
2020/08/09(日) 23:34:00.79 ID:S7yVE8bX0



ピノをかなりの数を食べてわかったことは二つ。

レアな形のピノはなかなか出ない、ということと、ああ見えて結構お腹にくる、ということだった。

私の希望したものを手に入れられなかったからか、それとも単にお腹がいっぱいで苦しいのか、コンビニを出てからのプロデューサーはどうにも元気がなさそうだった。

無茶振りが過ぎて、盛り下げてしまったかもしれない。

なんて少しの反省をしつつ、空気を変えるためにも努めて明るく「ハートはさ、普段もらってるから、星だったのかもね」と彼に話しかける。

「ファンの人たちから?」
「いつもみたいに『俺から?』とか、言うと思った」
「あ、ちゃんと届いてたの?」
「不在票、いつも入ってるから」
「早く再配達の電話して」

ばかみたいなやりとりを経て「それで次だけど」と私が切り出すと、彼はやや申し訳なさそうに「しばらくは何も入らないかもしれない」と言う。

「それはわかってるから安心してよ」
「昼ごはんのタイミングなのに、なんかごめんな」
「言い出したのは私なんだから謝んないでってば。それに、さ」
「それに?」
「結構、楽しかったんだよね。あれ」
「……確かに」
「でしょ? お茶もおいしかったし」
「お茶淹れに行っただけで笑ってくるコンビニ店員もいたし?」
「あれは私でも笑うと思うけど」
「それもそうか。……で、なんだっけ。次は?」
「んー。決まってないんだけどさ、ゆっくりしようよ。おっきい公園とか散歩してさ」

ちらりと運転する彼の横顔を見やる。

「暑そうだなぁ、って思ってる顔」
「もしかして、心と心で通じてたりしますか?」
「一瞬うげ、って顔したでしょ」
「してないしてない。行こうか、公園」
「あ、でもさ」
「もう着替えないんだよね」
「凛はスポーツウェアって持ってきてる?」
「普通のジャージならあるよ」
「なら初めからそれに着替えて公園行ったらいいんじゃないかな」
「あー、そっか。プロデューサーは? ほんとに嫌じゃない?」
「もちろん。てきとーに走ってたけど、こっちの方向にでっかい公園あった気がするから、そこ行ってみるか」
「そうなんだ。じゃあ、そこで」

そして、もう既に何度目かもわからない彼の「了解!」を最後に、私はしばらく意識を手放してしまう。



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