15: ◆Rin.ODRFYM[saga]
2020/08/09(日) 23:33:13.06 ID:S7yVE8bX0
○
「失礼な店員だよ、全く」
ぷんすか怒りながらも、どこか愉快そうに言ってプロデューサーは機械的な動作でピノを口へと放り込んでいく。
私が「おいしい?」と訊けば「おいしいものであるはずだったんだ」と返ってきた。
空箱を袋へと雑に突っ込んで、次の箱に手をかけべりべりとめくる。だんだんと洗練されてきたその動作は鮮やかだ。
正直なところ、ハートのピノなどいくつか買えばあっさりと出るだろうと楽観視していたのだが、どうやらその認識は甘かったらしい。
ここまで封入率が低いものだとは。
流石にプロデューサーにこれ以上の無理を強いるのは忍びない。
とりあえずは彼が追加で購入してきた分を食べるのを手伝って、それで出なければ諦めた方がよさそうだった。
「お、凛もやる気になった?」
「一箱くらいはね」
べりべりと箱を開けて、中を覗き込む。
「あ」
「え」
間の抜けた声が重なる。
手の中の箱には、通常とは異なる形のピノが入っていた。
「これ」
「あー」
星型かぁ、と同時に呟いてうなだれる。
お茶、淹れてくるよと気を紛らわすように車を降りた彼は、店員さんのにやにやとした視線をまた一身に浴びていた。
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