14: ◆Rin.ODRFYM[saga]
2020/08/09(日) 23:32:33.33 ID:S7yVE8bX0
その数分後に戻ってきた彼の手にはピノはなく、紙コップが握られていた。
「なにそれ」
「あったかいお茶」
「作ったの?」
「そう。お茶っ葉と紙コップ買って、カップラーメン作るお湯を借りて」
「ほんとばかだよね。プロデューサー」
冷房の効いた車内で彼は、ずずずとお茶をすすり「あー」とおじさんくさい声を上げる。
「ピノは?」
「ピノ五個だけ買った大人がまた来たと思ったら今度は紙コップとお茶っ葉買ってったら、普通どう思う?」
「やばいやつ来たな、って思うよね」
「そうなんだよ。もうこのコンビニ行けない」
「で、ピノは?」
「生産中止だってさ」
「私見てきてあったら謝りなよ」
「何に」
「ピノに」
「ピノに謝るくらいなら、買ってくる」
この少しの間で、ピノとの間に謎のライバル意識が生まれたらしいプロデューサーは「次は勝つ」と車を降りる。
その様子を車内から見守っていると、彼がお店に入った瞬間に店員さんが噴き出していて、私も思わず笑い転げてしまうのだった。
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