ハートの融点
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13: ◆Rin.ODRFYM[saga]
2020/08/09(日) 23:31:26.80 ID:S7yVE8bX0

車へと戻り、二人同時に一箱ずつ開封する。
結果は互いに空振りで並んでいるものはどれもスタンダードな形のものだった。

「出ないじゃん」
「まだ一箱目だってば。ほら、早く食べて次開けなよ。溶けちゃうよ」
「凛も協力してよ」
「私はこの一箱をゆっくり食べるから」
「えー」

ぶつぶつと言いながら、プロデューサーは横着にピックで二つのピノを突き刺して口へと放る。

「その食べ方、ピノを冒涜してるよね」
「思った。ピノってさ、六個しかないのをありがたがって食べるからおいしいみたいなとこあるもんな」
「おいしくないの?」
「あと三箱もあるからな」

残りも同じようにして口に放った彼はもぐもぐとしながら、次の箱へと手を伸ばす。
間髪入れずにべりべりと開けて「来い!」と覗き込んだその表情は、残念ながら明るいものではなかった。

「ない」
「あーあ」

刺して刺して、食べる。
刺して刺して、食べる。刺して刺して、食べる。
二箱目にして早くも作業的な手付きで彼はピノをあっという間に平らげ、すぐに次の箱をべりべりとする。

「ない」
「あーあ」
「これ、無理だよ。凛」
「愛が足りないんじゃない?」
「凛への?」
「ピノへの」
「凛へのやつなら負ける気がしないんだけどな」
「はいはい」

私がゆっくりと一箱を食べ終える頃、プロデューサーも四箱分のピノを胃に収める。
こちらを見つめる彼の視線は「もうやめにしませんか」と訴えていた。

「ハートのピノは後日でもいいですか」
「もう諦めるの?」
「せめてあったかいお茶が飲みたい」
「夏場のコンビニにそんなのあるわけないでしょ」
「ピノをバカみたいに食べる客に備えて用意してあったりしないかなー」
「とかなんとか言って、お財布持って車降りようとしてるあたり、負けず嫌いだよね」
「ほら、言うだろ」
「なんて?」
「プロデューサーは担当アイドルに似る、って」
「言わないし、似てないから」

見てろ、と私を指さして車を降りた彼は意気揚々とコンビニへと入っていく。



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