270: ◆Try7rHwMFw[saga]
2020/09/18(金) 21:07:22.26 ID:TbDVBCa4O
デボラが訝しげに彼女を見た。
「……このお子様、知り合いかい?」
「お子様じゃないですぅ。これでも27、適齢期の乙女なんですから。
271: ◆Try7rHwMFw[saga]
2020/09/18(金) 21:07:59.54 ID:TbDVBCa4O
「分かった。2点目。俺たちを保護するなら、なぜエリザベートが来る必要がある?第三皇女とはいえ、そいつは貴人だ。お前なら、これがいかに危険な案件か理解しているはずだ」
「それは私から」
エリザベートが軽く手を挙げた。
272: ◆Try7rHwMFw[saga]
2020/09/18(金) 21:08:51.38 ID:TbDVBCa4O
「……『六連星』?」
「ま、知るわけねえわな。これは、王族など一部しか知らねえ最上級機密事項だ。……ん」
ランパードの視線がデボラに向いている。顔色が青ざめているのが分かった。
273: ◆Try7rHwMFw[saga]
2020/09/18(金) 21:09:20.84 ID:TbDVBCa4O
「……デイヴィッドという男も、その一人か」
「……!!やはり会ってたか」
274: ◆Try7rHwMFw[saga]
2020/09/18(金) 21:10:40.00 ID:TbDVBCa4O
「……まあ、お前さんにとっては因縁の相手だな。向こうにとってもそうだろうが」
「……奴もここに?」
「いや、そこまでは知らねえんだ。まあ、デイヴィッドが来てるならすぐに分かるだろうが。手段を選ばねえからな」
275: ◆Try7rHwMFw[saga]
2020/09/18(金) 21:11:43.25 ID:TbDVBCa4O
#
月明かりの中、事切れたファリス・エストラーダの手を小娘が握り続けていた。
「……もう、いいだろう」
276: ◆Try7rHwMFw[saga]
2020/09/18(金) 21:12:11.64 ID:TbDVBCa4O
「自分の命と甘ったるい感情のどちらが大事だっ!!!」
277: ◆Try7rHwMFw[saga]
2020/09/18(金) 21:12:39.75 ID:TbDVBCa4O
小娘の身体がビクッと震えた。唇を噛み、嗚咽しながら俯く。
「そんなの……哀し過ぎるっ……!」
「だが、他の選択の余地は、ない」
278: ◆Try7rHwMFw[saga]
2020/09/18(金) 21:13:18.11 ID:TbDVBCa4O
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それから俺たちはデボラと合流した。ウィテカーは深傷を負っていたが、命は取り留めたという。
小娘は、ずっと無言だった。デボラが話し掛けても、ほとんど反応を示さなかった。まして、俺の方は見向きもしなかった。
279: ◆Try7rHwMFw[saga]
2020/09/18(金) 21:13:58.37 ID:TbDVBCa4O
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俺は天井を見上げた。小娘は、まだ引きこもっている。
どうやれば、あいつに前を向かせられるのだろう。時間が経てば、解決する類いの話なのか。
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