279: ◆Try7rHwMFw[saga]
2020/09/18(金) 21:13:58.37 ID:TbDVBCa4O
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俺は天井を見上げた。小娘は、まだ引きこもっている。
どうやれば、あいつに前を向かせられるのだろう。時間が経てば、解決する類いの話なのか。
そんな俺の様子に、ランパードは気付いたようだった。
「……どうやって死体を消したかは知らねえが、嬢ちゃんは納得してなさそうだな。だから、ここに姿を現さないわけか」
ランパードがやれやれと首を振った。
「……やむを得ない処置だ。後で話に行く……」
はあ、とエリザベートが呆れたように息をつく。
「さっさと行ってあげた方がいいですよ?あの子、結構繊細ですし」
「何?」
「どうせ『こうするしかないんだ』って理屈で通したんでしょ?それ、一番やっちゃダメ。
女の子は共感してもらいたい生き物なのですよ。ね?ビクター」
ビクターが渋い顔になった。
「……なんで俺に振るんだよ」
「んー?何ででしょう。ま、それはともかく。
一言謝ってちゃんとプルミエールの想いを聞いてあげた方がいいんじゃないですか?2人がどういう関係かは知らないですけど」
……想いを聞く、か。確かに、それは必要なことかもしれない。
「……分かった」
「んふふ。エリックはやっぱり女の子の扱いが下手ですねぇ」
「……何か言ったか?」
「えー?何もぉ」
ガキの頃と変わらず、どこか人を食ったような奴だ。だが、言っていることは、多分正しい。
「チッ」と舌打ちをして、俺は立ち上がった。
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