32:名無しNIPPER[saga]
2020/07/12(日) 21:28:49.41 ID:qe4+sBJv0
「圧巻の景色ね……」
「すごーい!綺麗ずらー!」
昼ご飯を食べ終わった2人は、一面のシロツメクサに覆われたシロツメクサの花畑にいた。
さらさらした花丸の栗色の髪が白い花と同じように風に弄ばれるように乱れ舞っている。
そよぐ昼下がりのシロツメクサの中で踊り跳ねる花丸は、本物の天使が地上に舞い降りてきたようで、ヨハネはその可憐な姿に思わず見蕩れてしまう。
「何してるの、ヨハネちゃーん!」
「ああ、ごめんごめん。少し考え事をしてた。」
少し怒ったような花丸の声で、ヨハネは現実に引き戻された。
花丸のそばに座り込んで、丁寧に花を摘み取る。
「こうやって編むずら。」
「花丸、花を編むの上手ね。」
「おばあちゃんが昔に教えてくれたずら。ヨハネちゃんには、マルが教えてあげる。」
「よろしく頼むわね。」
慣れた手つきで花を葛に織り込んでいく花丸とは対照的に、ヨハネは少しぎこちなさそうに手を動かしている。
「できたずら!ヨハネちゃん、見て!できたよ!」
即座に自分の頭に被せると、想定より小さかったのか、花丸の頭の上に載せただけになる。
小さな輪が花丸の頭にぽっかり浮かんでいて、少し滑稽だった。
「花丸!それ小さすぎるって!」
腹を抱えながらヨハネは笑い転げる。
「ずらー!」
「あっはっはっは!お腹がよじれる……!」
2人は時折笑いながら、肩を寄せ合って座っていた。
それはまるで、年の離れた仲の良い姉妹のようだった。
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