31:名無しNIPPER[saga]
2020/07/12(日) 21:28:09.80 ID:qe4+sBJv0
「ねぇ、ヨハネちゃん。」
「なによ。」
「せっかくだから、2人でなんかお揃いのアクセサリー作ろうよ!」
「アクセサリー?」
「そう!シロツメクサで作るの。」
この辺の山々では春から秋にかけてシロツメクサが咲き誇り、それはまるで白色の絨毯のように山を彩るのだ。
「悪くないわね。どのあたりに咲いていたっけ?」
「あっちの方だよ。ヨハネちゃんはこの辺りに住んでいるのに、あんまりそっちには行かないの?」
「あんたたち子供がよく遊んでいるじゃない。ちょっと近寄りがたいのよね。」
「ヨハネちゃんも他の子と一緒に遊べばいいのに。」
「……それは」
ヨハネは言葉を詰まらせる。
久しぶりに会ったときに、花丸の隣にいたピンク色の髪をした少女の、怪訝そうな顔を思い出す。
(花丸にしか私は見えないのよ。)
(他の子は私が歩いても飛んでも、見えないし聞こえないの。)
(それが普通。見えるあなたが特別なのよ。)
幾片の言葉がヨハネの頭の中を駆ける。
「……いいの。私は花丸と仲良くできれば、それでいいの。」
「えへへ……私だけ特別だ。」
花丸は照れくさそうに頬を赤らめていた。
「そうと、決まったら早くご飯食べなきゃ!」
「ほら、そんなに慌ててると喉に詰まらせるわよ。」
照れくさそうに笑う花丸の背中をさすりながら、ヨハネは花丸に微笑みかける。
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