21:名無しNIPPER[saga]
2020/07/12(日) 21:20:03.13 ID:qe4+sBJv0
おそらく、自分の中で過去最大の失態になるだろうな、と思いつつ、確実にヨハネの中でじわじわと焦りが蓄積していく。
(完全にやってしまったやつね、これ。)
一周回ってむしろ冷静になった頭でそんなことを考える。
よく考えたら特徴のある語尾を聞いたときに気づいておくんだった。
「わぁ〜!ヨハネちゃんずら!久しぶりにまた会えたね!!」
下からぴょんぴょんと手を伸ばす花丸に対して、ヨハネは身体の硬直を解くことができない。
けれども、喜びに満ち満ちている花丸とは対照的に、もう一人の少女は目の前に異様な光景が広がっているかのような顔をしている。
「だ、誰と話しているの……花丸ちゃん?」
「誰って、ここにいるお姉ちゃんが見」
その言葉を聞き終わる前に、ヨハネは緊張が限界点に達して、突然バネが弾けたように空中高くへ舞い上がる。
「ずら!ヨハネおね……」
なにか微かに耳に残ったような気がしたが、ヨハネは気にせずにその場から遠く離れようとする。
(完全にやってしまった。)
ヨハネの背をじとりと嫌な汗が流れる。
(完璧に見られた。)
頭をぽりぽり掻く。
「マリーにでも知られたら、首絞められるだけじゃ済まないでしょうね……」
その日一日、ヨハネは途方に暮れたようによろよろと山の奥を飛び回っていた。
天の川が空の頂に橋を架ける頃、ようやく戻ってきたヨハネは弱弱しく地面に着地し、力尽きたようにその場で寝てしまった。
74Res/68.45 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
書[5]
板[3] 1-[1] l20