20:名無しNIPPER[saga]
2020/07/12(日) 21:19:11.09 ID:qe4+sBJv0
「待ってー!!」
ビクッとして思わずヨハネは自分の寝床である大樹に身を隠す。
(今のは近かった……!)
人から見えないと分かっていても、やはりあまり気分は良くないもので、一応姿を隠しておく。
案の定、大樹のすぐ近くを子供が走り去っていく。
ポトリ、と人影から何かが落ちる音がした。
おや、と思い、ヨハネはその落ちた物に手を伸ばす。
それは花をあしらった小さな小さなペンダントだった。
「まったく、最近の子供は不注意ね……」
取りに来るようなら返してあげようかしら。
そんなことを思いながら、物珍しそうにそれをしげしげと眺める。
「小綺麗なペンダントね……。人間の衣装って段々と派手になっていくわね。」
数十分ぐらい経っただろうか。
昼寝場所でも探しに行こうと腰を上げようとしたときに、2人の子供の姿が見えてきた。
「確か、この辺で落としたはずなんだよ……」
「でも、この草むらじゃ見つからないよ。」
片側の子は今にもしゃくり上げそうになっている。
「でも、これはおばあちゃんと街に行ったときに買ってくれた大切なものずら……」
「大丈夫だよ、花丸ちゃん。ルビィも一緒に謝ってあげるから。」
ヨハネは今にも泣き出しそうな顔の上の帽子に当たるようにペンダントを落とした。
ピンク色の左右で髪を束ねた女の子が怪訝そうに、地面に落ちたそれを摘まみ上げる。
裏腹に、白い帽子を被った女の子は木々の隙間、何かが落ちてきた虚空を見つめる。
その子と目が合った瞬間、ヨハネは雷に打たれたように動けなくなっていた。
その口が何か言葉を発する前に、徐々に顔が明るくなっていく女の子が嬉しそうに声をあげる。
「よはねおねえちゃん!」
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