21:名無しNIPPER[saga]
2020/04/26(日) 22:35:03.58 ID:DTyxDqAB0
まばらな客は誰も加蓮の事など見ていませんでした。
大手のシネコンであればどうしたって紛れ込んでしまう無粋な客も、
夕暮れ前のミニシアターにまでは忍び込んで来られません。
心地良い孤独がアイスコーヒーを少し美味しくしてくれます。
22:名無しNIPPER[saga]
2020/04/26(日) 22:46:20.28 ID:DTyxDqAB0
◇ ◇ ◆
もう百二十分も経ったのか。
23:名無しNIPPER[saga]
2020/04/26(日) 22:57:53.07 ID:DTyxDqAB0
「……分からん」
24:名無しNIPPER[saga]
2020/04/26(日) 23:07:06.40 ID:DTyxDqAB0
余裕を湛えつつも確かな意思の宿る瞳に、
決して明るくはない照明を妖しく照らし返す唇。
ブレザーさえ着ていなければ舞台女優だと名乗っても通用してしまいそうな、
実に線の整った顔立ちです。
25:名無しNIPPER[saga]
2020/04/26(日) 23:23:44.57 ID:DTyxDqAB0
「は、ぁっ……はぁ、っ……」
頭が冷えてきたところで、
なぜ自分が逃げ出してしまったのか、加蓮には分かりませんでした。
26:名無しNIPPER[saga]
2020/04/26(日) 23:32:55.11 ID:DTyxDqAB0
何の根拠も無い決め付けに、
加蓮は自分でもびっくりしてしまうほど自然に、納得してしまうのでした。
27:名無しNIPPER[saga]
2020/04/26(日) 23:50:42.92 ID:DTyxDqAB0
◇ ◇ ◆
ポテト全サイズ百五十円。
28:名無しNIPPER[saga]
2020/04/26(日) 23:57:14.38 ID:DTyxDqAB0
「いらっしゃいませー」
「ポテトのL……と……コーラのS一つ、で」
29:名無しNIPPER[saga]
2020/04/27(月) 00:09:34.35 ID:Hmn4qVbR0
「……い、いらっしゃいませー」
「あ……え、っと……ポテト?」
30:名無しNIPPER[saga]
2020/04/27(月) 00:17:38.06 ID:Hmn4qVbR0
先程までは空席だった筈の椅子。
いつの間にか先ほどの男がそこへ座っていた事実に、加蓮はようやっと気が付きました。
それから聴覚情報の処理が始まって、ぎゅうっと胸が痛くなりました。
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