142:名無しNIPPER[saga]
2020/05/07(木) 21:14:21.11 ID:XPAMg3p00
「ま、ね。幼稚園とか小学校の頃は病院を行ったり来たりだったし。
生まれたばっかの頃とか、何か赤ちゃん用の機械に入れられてたらしいし」
「それは……相当だな」
143:名無しNIPPER[saga]
2020/05/07(木) 21:31:16.33 ID:XPAMg3p00
「だからホラ、ウチの親ってアタシにダダ甘なんだよね。
昔から欲しいって言ったものは大体何でも買ってもらえたし」
「……可愛い一人娘だから?」
144:名無しNIPPER[saga]
2020/05/07(木) 21:45:37.33 ID:XPAMg3p00
「いないよ」
「そうなんだ」
145:名無しNIPPER[saga]
2020/05/07(木) 21:51:26.71 ID:XPAMg3p00
「ご贔屓のグループは? あれば掛けるぞ」
「贔屓って程でもないけど……カーペンターズは入ってる?」
146:名無しNIPPER[saga]
2020/05/07(木) 21:59:45.33 ID:XPAMg3p00
「何だ。入ってたんじゃん」
流れ始めたのは耳馴染みのあるメロディ。
穏やかで落ち着いた、どこか懐かしい曲調は加蓮の眉を少しだけ緩ませます。
147:名無しNIPPER[saga]
2020/05/07(木) 22:11:02.27 ID:XPAMg3p00
加蓮がじろじろと彼の全身を眺め回します。
この人が、まかり間違ったら教師に。
148:名無しNIPPER[saga]
2020/05/07(木) 22:17:03.70 ID:XPAMg3p00
「カレンって読みは多分、もともと二人の間で決まってたんだろう。
それから加蓮が生まれて……疾患を抱えているのを知ってしまった」
「……」
149:名無しNIPPER[saga]
2020/05/07(木) 22:23:21.76 ID:XPAMg3p00
思い出を数え上げれば、楽しい記憶はそれほど多い訳ではありません。
ですが苦しい時や、辛い日には、常に母か父が傍に居てくれました。
震える手を握ってくれたり、退屈しのぎの話を聞かせてくれたり。
150:名無しNIPPER[saga]
2020/05/07(木) 22:28:14.89 ID:XPAMg3p00
真っ赤なオープンカーに乗って。
南の島の海岸沿いを走り抜けて。
151:名無しNIPPER[saga]
2020/05/07(木) 22:34:32.22 ID:XPAMg3p00
◇ ◇ ◆
「やー、バスタブでシャワーって慣れないねー……って加蓮、なに聴いてんの?」
152:名無しNIPPER[saga]
2020/05/07(木) 22:40:28.76 ID:XPAMg3p00
『――幾つもの古き良き夢たちが舞い戻って』
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