145:名無しNIPPER[saga]
2020/05/07(木) 21:51:26.71 ID:XPAMg3p00
「ご贔屓のグループは? あれば掛けるぞ」
「贔屓って程でもないけど……カーペンターズは入ってる?」
プロデューサーが口を開けて加蓮を見つめました。
ハチドリが巣を作るのなんかににちょうど良さそうな開き具合です。
「ちょいと。前見て前」
「……っと。すまん」
幸い、海岸線沿いの一本道に正面衝突するような障害物はありません。
ほんの少しハンドルを切れば車はすぐに舵を取り戻しました。
「何? 洋楽の一つくらい聴いてちゃ変?」
「変というか……カーペンターズ、聴くのか」
「両親が好きでね。旅行先の車なんかでよく聴いてたの、思い出してさ」
「……そうか」
滑らかに喋っていたプロデューサーが再び黙り込んでしまいました。
どこか逡巡するように、握ったハンドルを指先でとんとんと叩いて。
訝るような視線を加蓮から向けられつつ、手元のプレーヤーをタップします。
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