もしもし、そこの加蓮さん。
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142:名無しNIPPER[saga]
2020/05/07(木) 21:14:21.11 ID:XPAMg3p00

 「ま、ね。幼稚園とか小学校の頃は病院を行ったり来たりだったし。
  生まれたばっかの頃とか、何か赤ちゃん用の機械に入れられてたらしいし」

 「それは……相当だな」

 「遺伝性の呼吸器系でさ。お母さんが抱えてたみたい」

 「親御さんもか」

 「大人になってから発症したお陰で、お母さんは結構すぐ治ったんだって。
  でもアタシ、小さかったからさ。強い薬もなかなか使えなくて……結構長引いちゃったんだよね」


語る内に、鋭い痛みが胸を刺しました。

忘れられたくとも忘れられない、人生で最悪の一言。
子供ながらに言い放つべきではなかったとすぐに理解して、
けれどもう取り戻す事の叶わなかった呪いの言葉。

幻痛に上着の胸元をぎゅうっと握り締めます。
隣のプロデューサーは迷うように目線を送り、けれどどうする事も出来ません。

 「……すまない」

 「ううん。いつかは知る事だったし」

加蓮が軽く答える一方で、彼は沈痛の面持ちを浮かべていました。
頬を軽く掻きながら、彼女は努めて明るい声音を出します。


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