もしもし、そこの加蓮さん。
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149:名無しNIPPER[saga]
2020/05/07(木) 22:23:21.76 ID:XPAMg3p00

思い出を数え上げれば、楽しい記憶はそれほど多い訳ではありません。

ですが苦しい時や、辛い日には、常に母か父が傍に居てくれました。
震える手を握ってくれたり、退屈しのぎの話を聞かせてくれたり。
きっと、ただひとりのままだったら、
いずれどこかで消えてなくなってしまっていたかもしれません。


掛けっぱなしだったサングラスをずらしました。
途端、遮られていた風と陽光が目を襲い、加蓮は目を細めます。

ニューカレドニアは眩しかった。
日本へ帰ったら二人にそう伝えようと、加蓮は遥か彼方の故郷に思いを馳せました。


 「カーペンターズなら……この曲は知ってるか?」

プロデューサーがプレーヤーを操作すると、
耳馴染みはある、けれども聴いた事の無い旋律が響き始めます。

 「知らない。なんて曲?」

 「邦訳は……忘れたけど、『古き良き日々よ』ってところかな」

 「ふぅん……何でまた?」

 「何となく、な」


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