20:名無しNIPPER[sage saga]
2020/01/04(土) 21:25:07.20 ID:DQhBkFB7O
「もしもあなたが本質的な部分でルークに似ているのだとしたらアッシュに反発していた筈」
「父上に、反発なんて……」
「あら? もしかして、怖いの?」
レプリカ・ルークなら、きっとこう言い返す。
「こ、怖くなんかねーよ!」
「彼は怖がりだったわ」
まただ。結局、別人の真似なんか出来ない。
「怖がっていいのよ」
こちらに膝を向けて、ティアが肩に手を置く。
その柔らかな手のひらから温もりが伝わる。
すると、なんだか不思議と素直になれた。
「私たちは怖がりだから、仲間を頼るの」
「仲間……?」
「ええ。私の兄ですら、そうだった」
利用すると言いつつも、仲間を大切にした兄。
それを思い返すと、考えに確信を持てた。
ティアは肩を引き寄せて、優しく抱きしめた。
「大丈夫。私たちがついてる」
「ほんと……?」
「ええ。本当よ」
優しい声音で囁きながら、譜歌を口ずさむ。
大詠師の譜歌は美しく、心地良かった。
ウトウトしてふと気づく。今の状況は不味い。
「お、俺、もう寝るから!」
「え? 行っちゃうの……?」
「お、おやすみ!」
上目遣いで引き留めるティアはやはり三十路目前とは思えぬ程の色気を放っており、このままではいけないと本能に駆られたチビルークに逃げられ、爪を噛んでふて寝して、小さく呟く。
「……ばか」
それは久しぶりの、人を罵る言葉であった。
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