316: ◆VHvaOH2b6w[saga]
2019/12/29(日) 18:10:39.24 ID:ZRhpxi3E0
P「日本とアメリカ……ラスベガスとの時差、わかるか?」
紗代子「えっ?」
P「こっちはむこうより17時間早い。今が夜8時だからむこうは……」
317: ◆VHvaOH2b6w[saga]
2019/12/29(日) 18:11:26.27 ID:ZRhpxi3E0
P「Shahに……あの子に聞かせてやるんだ。会ったとはいえ、そんなに話はできなかったんだろう?」
紗代子「わかりました。歌で聞かせてあげます、あの子に、私のアイドルとしての今までを」
P「それでいい。黒井社長以外の審査員に10点以上を出させる……奇蹟に挑戦だ」
318: ◆VHvaOH2b6w[saga]
2019/12/29(日) 18:12:25.02 ID:ZRhpxi3E0
紗代子が舞台に上がる。
これまでにない、スタンドマイク。それでも緊張せずに、ファンの声援に応えながら彼女は前を見据えた。
いつもの、燃えるような瞳だ。
紗代子「あーーー〜〜〜♪♪♪」
319: ◆VHvaOH2b6w[saga]
2019/12/29(日) 18:12:56.59 ID:ZRhpxi3E0
紗代子「ここには誰も いない♪
ここには誰も こない♪
独りきりで 迎える朝♪
でも今日からは 違うの♪」
320: ◆VHvaOH2b6w[saga]
2019/12/29(日) 18:15:55.63 ID:ZRhpxi3E0
パフォーマンスが終わった瞬間、紗代子は倒れ込みそうになるのを必死でこらえた。伏せた顔は披露で苦悶に歪み、息は完全にあがっている。
だが顔を上げた刹那、彼女は完璧な笑顔で観客に応え、手を振った。
激情の迸るようなステージたった。
観客もそれに対し、惜しみない拍手と声援をおくった。
321:名無しNIPPER
2019/12/29(日) 18:16:22.72 ID:ZRhpxi3E0
十人の審査員は、それぞれ得点のボタンを押す。
それぞれの席にその点数が表示され、司会者はそれを読み上げていく。
司会「これはすごい! 10点、10点、10点、10点、10点、10点、10点、10点、10点……」
322: ◆VHvaOH2b6w[saga]
2019/12/29(日) 18:17:45.84 ID:ZRhpxi3E0
黒井「君はこの私を誰だと思っているんだい? この私に限り、間違いなどあるはずがない。私の採点はこの通りだ」
やはり間違いはないのだ。いやーーここで黒井社長がこう言っているのだ。これ以上話を延ばせば、自分が危うい。
司会「は、はいっ! それでは黒井審査員の10点を加え、合計は……100点! ま、満点の最高得点です!! この時点で優勝は、765プロ所属の高山紗代子さんに決定です!!!」
323: ◆VHvaOH2b6w[saga]
2019/12/29(日) 18:18:19.53 ID:ZRhpxi3E0
司会「最優秀新人大賞、そしてワールドフェスへの参加、共に手中に収められたわけですが、今のお気持ちは」
紗代子「まず、いつも応援してくださっているファンのみなさんにお礼を言わせてください。本当にありがとうございます!」
司会「大変な熱戦でしたね」
324: ◆VHvaOH2b6w[saga]
2019/12/29(日) 18:19:36.74 ID:ZRhpxi3E0
アメリカではその様子を、Shahが……あの子が見ていた。
その表情は微笑みながらも、強い瞳で紗代子を見ていた。
Shah「負けないよ。絶対に負けない。だから……待ってるよ。私たちで素敵なステージを作ろうね。私と、よーちゃんと……それから、あの人もね」
325: ◆VHvaOH2b6w[saga]
2019/12/29(日) 18:20:03.42 ID:ZRhpxi3E0
『敗者復活のうた』
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