52: ◆tues0FtkhQ[saga]
2019/12/25(水) 00:43:49.88 ID:yU6CR/tX0
「それもウソ……でしょ」
「……っ、そ」
53: ◆tues0FtkhQ[saga]
2019/12/25(水) 00:44:29.26 ID:yU6CR/tX0
◇
54: ◆tues0FtkhQ[saga]
2019/12/25(水) 00:44:59.00 ID:yU6CR/tX0
「あっ」
あまりにも熱くなった身体に、凍えてしまいそうな張り詰めた空気。曇り空の下、静かな街はクリスマスが近いことを告げようとしていた。色褪せた世界でも目ざといくらいに煌めきを放つイルミネーションは、アタシが視界を隠してしまう前に想い出で世界を彩ろうとする。
55: ◆tues0FtkhQ[saga]
2019/12/25(水) 00:45:25.51 ID:yU6CR/tX0
アタシはフツウの子だ。そんな子が無理をしても疲れちゃうんだってことを忘れてたんだろう。アイドルって楽しいことを見つけたせいで、期待に応えたいって、声援に応えたいってそう思っちゃったせいで。ココロのどこかでアタシにも輝くなにかを見つけられるって信じていたから。
プロデューサーサンやみんなが持ってきてくれる「楽しい」で十分だったはずなのに、アタシは何を欲張ってしまったんだろう。とうの昔に諦めた全力の眩しさをマジメに追いかけてどうしたかったんだろう。
56: ◆tues0FtkhQ[saga]
2019/12/25(水) 00:45:56.64 ID:yU6CR/tX0
「アタシに真ん中はムリだよ、プロデューサーサン」
冬空へ掻き消してしまおうと思った呟きは、白い息と一緒にゆらりと立ち上って、そして誰かにキャッチされた。
57: ◆tues0FtkhQ[saga]
2019/12/25(水) 00:46:22.73 ID:yU6CR/tX0
「……優しくしちゃダメだよっ、アタシにもできるかもって思っちゃうからっ」
「やっぱり柚は考えすぎてるだけなんだよ、簡単なことなんだ」
58: ◆tues0FtkhQ[saga]
2019/12/25(水) 00:46:49.03 ID:yU6CR/tX0
「舞台袖って英語でなんていうか知ってるか?」
トクベツを見つけてくれた人はそう話を始めた。
59: ◆tues0FtkhQ[saga]
2019/12/25(水) 00:47:20.37 ID:yU6CR/tX0
「……柚はさ、大切なことをもう知っているはずなんだ」
「なぁ、柚のポリシーは?」
60: ◆tues0FtkhQ[saga]
2019/12/25(水) 00:47:54.24 ID:yU6CR/tX0
「それにさ……」
「マジメな柚だってわるくなかっただろ? 気付いてなかっただけなんだよ」
61: ◆tues0FtkhQ[saga]
2019/12/25(水) 00:48:20.12 ID:yU6CR/tX0
「みんながずっと送ってくれていたんだ」
「……なんで……っ」
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