54: ◆tues0FtkhQ[saga]
2019/12/25(水) 00:44:59.00 ID:yU6CR/tX0
「あっ」
あまりにも熱くなった身体に、凍えてしまいそうな張り詰めた空気。曇り空の下、静かな街はクリスマスが近いことを告げようとしていた。色褪せた世界でも目ざといくらいに煌めきを放つイルミネーションは、アタシが視界を隠してしまう前に想い出で世界を彩ろうとする。
あてもなく彷徨っていたときのこと。トクベツな人と出会った瞬間。不満の中にロマンを見つけた一瞬。
「……アタシ、やっぱり変わってないよ」
ふらふらと足を引きずって、近くにあったベンチに膝を抱えて座り込む。途切れそうな息をつなごうとすれば、雪の匂いがした。今年もまたクリスマスには白い奇蹟が夜空から舞い落ちてくるのかもしれない。
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