52: ◆tues0FtkhQ[saga]
2019/12/25(水) 00:43:49.88 ID:yU6CR/tX0
「それもウソ……でしょ」
「……っ、そ」
今度こそベテトレさんの声が淀んだことをアタシは見逃せなかった。アタシのせいだって言ってほしかった。そうしたら今度はちゃんと諦められた。舞台袖にも真ん中にもいられないことがしんどかった。
「あっ、おいっ」
次の瞬間、レッスンルームのドアを蹴飛ばす。ベテトレさんの顔も、世界からも目を逸して。階段を飛んで降りて、冬の街に逃げ出していく。ぎゅっと目をつぶった。今のアタシに見えてほしいものなんて何もない。だから最後の瞬間、ベテトレさんがなにを言いかけたのか、アタシには分からなかった。
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