37: ◆tues0FtkhQ[saga]
2019/12/25(水) 00:35:00.18 ID:yU6CR/tX0
センターって指揮者みたいだって感じた。
アタシを中心にして、周りに悠貴チャン、肇チャン、美世サンがいる配置。アタシのことが見えていても、いなくても、振りで、声で、アタシは全体の流れを作らなくちゃいけない。アタシが基準なんだってことになかなか慣れない。いつもなら気にしないことばかり気にしてしまって、振りも歌もワンテンポ遅れがちになってしまう。そうするとみんなにも影響が出て、微妙なズレがさらに大きな違和感になる。
38: ◆tues0FtkhQ[saga]
2019/12/25(水) 00:35:26.69 ID:yU6CR/tX0
「あーっ、わかんないっ」
でも分からないものは分からない。声掛け、歌い出し、ソロ、振りの微調整、MC、普段と変わらないようで確実に増えた面倒なコトがアタシに雨あられと降り注いでくる。アイドルって本当に大変だ。誰もが憧れる場所に立つならミスなんてしてられない。
39: ◆tues0FtkhQ[saga]
2019/12/25(水) 00:35:52.94 ID:yU6CR/tX0
◇
それから数週間。アタシの苦闘は続いていた。
40: ◆tues0FtkhQ[saga]
2019/12/25(水) 00:36:20.57 ID:yU6CR/tX0
「ちょっとずつカタチも見えてきたよね」
「ステージのことっ?」
41: ◆tues0FtkhQ[saga]
2019/12/25(水) 00:36:46.93 ID:yU6CR/tX0
「えへへ、アタシ普段テキトーだもんね」
「そ、そこまでは言ってないって」
42: ◆tues0FtkhQ[saga]
2019/12/25(水) 00:37:13.44 ID:yU6CR/tX0
「……やっぱりあたしはちょっとだけ心配だよ、柚ちゃん」
冬のため息のように消えてしまいそうな声。その最後を上手く聞き取れないまま、アタシはどうやら助手席で眠ってしまったみたいだった。いつもはお喋りなら任せてって感じなのに。気づくとアタシは家にいて、あとから美世サンが運んでくれたって知った。
43: ◆tues0FtkhQ[saga]
2019/12/25(水) 00:37:40.04 ID:yU6CR/tX0
◇
44: ◆tues0FtkhQ[saga]
2019/12/25(水) 00:38:06.69 ID:yU6CR/tX0
プロデューサーサンの手拍子に合わせて振り付けを何度も何度も確認する。踊れなかったことが踊れるようになるのは楽しい。歌えなかった音域が出るようになるのは楽しい。でもそんなことを感じてる余裕もないくらいに真面目に向き合わなくちゃいけない。今は見えないみんなの声や振り付けを想像しながら、プロデューサーサンの視線を一点に集めながら。
「それ、プロデューサーサンのカメラ?」
45: ◆tues0FtkhQ[saga]
2019/12/25(水) 00:38:40.92 ID:yU6CR/tX0
「それにしても柚が居残りレッスンとはな……」
「意外だった? ホラ、もっと褒めてっ♪」
46: ◆tues0FtkhQ[saga]
2019/12/25(水) 00:39:46.16 ID:yU6CR/tX0
「……」
「美世サンにも心配されたよっ、でも大丈夫っ」
47: ◆tues0FtkhQ[saga]
2019/12/25(水) 00:40:24.01 ID:yU6CR/tX0
◇
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