小日向美穂「グッバイ、ネヴァーランド」
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79:11 ◆d26MZoI9xM
2019/12/16(月) 07:27:18.39 ID:nY0iWbpOO
 それからどれほどの朝と夜がやってきただろうか。満月の夜はなかなか訪れず、その度に俺と肇はため息をつき眠りにつく。そして朝が来ては銃声と変な掛け声が飛び交う中夜を待ち、空を見上げて落胆する。枕につくときには明日こそ、と満月の夜が来ることを心から願うのだ。

「ふぅ……」

 スイカ割りをしたり捉えたはずの真鯛が暴れたり夜はスイカの皮の胡麻和えが意外に美味しかったり。夏休みの1日もそれが3日に一度訪れるのなら秋は来ずとも飽きが来てしまう。子供の頃は永遠に夏休みがあれば良いなと思っていたし、大人になった今でもずっと休みたいと思っていた。だけど結局のところ、休みというのは勉学や労働という生活の基盤たる義務の上に成り立つものだ。今ある仕事の日を全部休みにしたって行き着くところはずっと仕事をしているのと同じこと。終わらない休日なんて、いずれ苦痛に変わってしまう。この世界を仕掛けた犯人はそれを理解していないのだろう。良かれと思っていたのかは分からないけど、迷惑な話……

「こら、プロデューサーさん!」

「あたっ!」

 考え込んでいると響子にポカリと頭を叩かれる。

「今日はみんなでお掃除の日ですよ? ほら、プロデューサーさんも!」

「あ、ああ……悪い、考え事してました」

「最近考え事してること多いけど、何かあったんですか?」

「いや、ちょっとね」

 響子からもらったハタキでその辺の埃をとる。食材とか電気代やら水道代は用意してくれる割には掃除はしてくれないらしい。だからこうやってたまに大掃除をすることになっていた。陣頭指揮をとっているのはもちろんと言うべきか響子だ。

「もう、プロデューサーさんがお掃除しないとみんなしませんよ?」

 響子はプリプリと効果音がつきそうな怒り方をしている。



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