小日向美穂「グッバイ、ネヴァーランド」
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48: ◆d26MZoI9xM
2019/12/16(月) 01:11:41.37 ID:nY0iWbpOO
「事務所の時計台がめちゃくちゃなテンポで時を刻んでいるのは、故障や演出なんかじゃなくて本当のこと、なのかもしれませんね」

「じゃあちょっと待った。食材はどうなるんだ!?」

 藍子や亜季の話が正しいならば、あれだけ備蓄されていた食料も腐っているはずだ。

「それが……妙なんです。朝は気付きませんできたけど……昨日は書いてた賞味期限が全部消えてて、しかも食材が増えていたんです」

「増えてた!? 誰かモールに買い出しに行った?」

 誰の手も上がらない。

「いえ、これだけあれば当分持つよねってなって特にそんな話にはなりませんでしたよ」

 響子も身に覚えがないといった具合だ。そりゃそうだろう。今は雪やコンコンあられやコンコンと歌い踊れるくらいだけど、俺が車を出した時は吹雪いてたんだ。モールになんて行きようがない。どうやらこのサバイバル、食事に関しては何者かの干渉を受けて死なないようにできているらしい。

「鍋の素なんて昨日ありませんでしたし……何がどうなってるんだろう?」

 トマト鍋、キムチ鍋、ごま豆乳鍋、中には季節外れのココナッツ鍋なんて変わり種まで。野菜も肉も揃っているし見たところ秋をすっ飛ばすくらい寝かせたカレーみたいに食べられないといった見た目ではない。



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