47: ◆d26MZoI9xM
2019/12/16(月) 01:11:06.23 ID:nY0iWbpOO
「なんにせよ腹が減ってはなんとやら! 昨日のカレーがまだあります! 一晩寝かしたカレーは絶品でありますからね! 毎日が金曜日!」
カレーが嫌いな人はいない。亜季のランチはカレー宣言にみんな声をあげて喜ぶ。昔聞いたことがあるがカレーは出来立てよりも一晩寝かせた方が確かに美味しくなるらしく、科学的な根拠もあるそうだ。一度冷ましたカレーを温め直すことで熟成が進行して旨味が出るんだとか。
「でもプロデューサーさん。昨日今日で夏からいきなり冬になりましたけど……私たち、本当に一晩だけ寝てたんでしょうか?」
「えっ?」
藍子のふとした言葉に心臓が掴まれた気分になる。
「私、よくみんなから藍子ちゃんはゆるふわしてるとか、一緒にいると時間が経つのがゆっくりになるって言われるんです。だからもし、その逆もあるとしたら」
寝ている間に何度も何度も太陽と月が追いかけっこをしていたら?
「時間が加速しているってことか? そんな、浦島太郎みたいな……」
だけどもし、俺たち全員が竜宮城にいたとしたら? 誰一人として、何百年の歳月が過ぎ去った事に気が付かなかったのらば。突拍子もない可能性が頭をよぎるがそんなわけないだろと言おうとしたその矢先。
「いや、藍子殿の指摘は間違ってないと思われます。昨日寝かしたカレーが数日間放っておいたみたいになっていて……とても食べられる状況ではありませんでした」
亜季は明らかに参りましたと言いたげなくらいに表情が暗い。
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