217: ◆yufVJNsZ3s[saga]
2020/03/21(土) 11:11:02.04 ID:pQ00XHC/0
疑問と苛立ちの両方が、殆ど同時にやってくる。それは悪天候の日、濃い灰色の暗雲から、水平線のさらに向こうに落ちる稲妻の群れに酷似していた。
次の加賀の言葉も、そして私自身の言葉も俟たずして、ベンチから立ち上がった。
「……ひどいご挨拶じゃない」
218: ◆yufVJNsZ3s[saga]
2020/03/21(土) 11:13:13.77 ID:pQ00XHC/0
それでも。それでも、なら、どうして彼女は射形を崩さない? 胴着を身に着けたまま、遠くを見据えている?
それはとても難しいことに思えた。なにより奇妙に思えた。推論のちぐはぐ感。きっと間違っているからだ。
219: ◆yufVJNsZ3s[saga]
2020/03/21(土) 11:24:26.43 ID:pQ00XHC/0
「言っておくけれど」
喧嘩腰にならないように、それでもはっきり怒りを露わにして、言葉を選ぶ。
220: ◆yufVJNsZ3s[saga]
2020/03/21(土) 11:25:43.33 ID:pQ00XHC/0
「割って入っては、来なかったのね」
「や、勿論殴り合いになる前には止めるつもりでした。
221: ◆yufVJNsZ3s[saga]
2020/03/21(土) 11:28:07.67 ID:pQ00XHC/0
戦うことは大事なことだ。戦わずして、真に大切なものは守れない。しかしそれと同時に、同じくらい、誰かを助けることは重要なはずだった。
怒りが鎌首をもたげる。
222: ◆yufVJNsZ3s[saga]
2020/03/21(土) 11:30:12.03 ID:pQ00XHC/0
歌うように諳んじる青葉の口調は、どこまでも突き抜けていくほどあっけらかんとしていて、まるで彼女の言葉だけが重力から解放されているようだった。
どこを見て言っているのか。誰に向けて言っているのか。不明瞭なほど曖昧な言の葉。
「トラックも――」
223: ◆yufVJNsZ3s[saga]
2020/03/21(土) 11:33:54.95 ID:pQ00XHC/0
「……ねえさま」
諦念に満ち満ちたあのひとの人生に、果たして悔悟はあったのだろうか。「そういうものだ」と割り切ることは、幸福を希求する一助になるのだろうか。
224: ◆yufVJNsZ3s[saga]
2020/03/21(土) 11:40:34.14 ID:pQ00XHC/0
―――――――――――――――
ここまで。
ラストバトル突入。
「ギャルゲー」「潜水艦泊地」と続いたお話も、もう少しでおしまいとなります。
225:名無しNIPPER[sage]
2020/03/21(土) 11:58:55.01 ID:0O6plnNPo
乙
そうか、もう長くないのか
最後まで付き合いますよ
226: ◆yufVJNsZ3s[sage saga]
2020/03/21(土) 12:40:01.07 ID:pQ00XHC/0
こっから無尽蔵に描写が増えて長くなります。
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