【シャニマス SS】P「プロポーズの暴発」夏葉「賞味期限切れの夢」
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◆/rHuADhITI
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2019/08/18(日) 02:40:50.07 ID:oj63shz20
「おー、懐かしいな、これ」
「樹里、みんなも」
クイズに興じていた四人が、昔話の匂いを嗅ぎつけたのか、こちらに来ていた。
「プロデューサーさんの、ちょっぴり恥ずかしい写真があると聞いて」
以下略
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◆/rHuADhITI
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2019/08/18(日) 02:41:43.16 ID:oj63shz20
「……ああ、そうか。半年早いってそういうことか」
俺がアイドルのみんなと出会う約半年前の、283プロに入ったばかりの写真もあるのだ。あの頃は切羽詰まっていて、行き場のない焦燥感に駆られていて、精神のギリギリの所をなんとか取り繕っている状態だった。それはもう酷い顔をしていたに違いない。
あの当時はじっくりと鏡を見る余裕すらなかったので、その酷さを具体的に想像できないが、はづきさんが「刺激が強い」と評したということは、つまりそういうことなのだろう。
以下略
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◆/rHuADhITI
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2019/08/18(日) 02:42:10.83 ID:oj63shz20
「ふふっ、信用されてますけど、信用されていませんね〜」
「ですねえ」
社長の秘蔵ワインを一口含んでから、彼女たちに目をやった。
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◆/rHuADhITI
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2019/08/18(日) 02:42:42.75 ID:oj63shz20
「うむむ……」
どうにも落ち着かない気分になってしまった。
彼女たちから見た俺自身の働きぶり。その沙汰が下ると思うと、腹の底がむずむずとしてくる。さっきまでの浮かれた気分とは違う。期待と緊張がせめぎ合っていて、わずかに期待感が勝っている。そんな判然としない高揚感を胸の内に感じていた。
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◆/rHuADhITI
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2019/08/18(日) 02:43:21.55 ID:oj63shz20
「これでいいか?」
前傾姿勢をとり、前髪を掻き上げた。
「はい! プロデューサーさんに押すのはこれです! 『たいへんよくできました』っ!」
額に短く弱い圧迫感を感じた。智代子が満足そうな顔を浮かべる。どうやら綺麗に押せたらしい。
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◆/rHuADhITI
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2019/08/18(日) 02:43:53.38 ID:oj63shz20
夏葉が目を覚ましたのは、それから二時間後のことだった。
彼女は自然と目を覚まし、寝惚けまなこをこすりながら周囲を見渡した。俺を除いて、既に事務所には誰もいない。お祝いの料理なども一通り片付いていた。
「智代子を連れて、樹里と凛世は寮に戻った。果穂は、はづきさんが車で家まで送ってる」
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◆/rHuADhITI
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2019/08/18(日) 02:44:23.90 ID:oj63shz20
夏葉は自分の立ち振る舞いを大切にしている人間だ。常に周囲に遠慮しているという意味ではない。夏葉はどんな時も善く在ろうとする心がけを持っている。だから、酔いつぶれたところなど見たことがなかった。
とはいえ、夏葉も完璧な人間じゃない。そんな人間はどこにもいない。彼女が疲れ果てて眠っている姿など、これまで何度も目にしてきている。
つまり知りたいのは理由だ。浮かれた気分だった、それで酒がすすんだ。それも間違いではないだろう。だがそれだけではないと、今日までの経験がささやいていた。
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◆/rHuADhITI
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2019/08/18(日) 02:44:49.16 ID:oj63shz20
その時、俺はどんな顔をしていたのだろうか。怯えた表情を浮かべていたのだろうか。夏葉は俺の顔を覗き込んで、励ますように微笑み、断言した。
「私は今が幸せよ」
虚ろ気な雰囲気とは逆に、力強い口調だった。
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◆/rHuADhITI
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2019/08/18(日) 02:45:19.53 ID:oj63shz20
「取ってきたぞ」
戻ってアルバムを夏葉に手渡し、スタンプケースはソファ前の机のはじに置いておく。夏葉は短く礼を言って、半身分ほどソファの右側に体をずらした。人間ひとりが余裕を持て座れるスペースが空いた。
アルバムが机の上に広げて置かれる。隣り合って座っているので、向ける方向に苦慮しなくて済んだのはありがたかった。
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◆/rHuADhITI
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2019/08/18(日) 02:45:49.11 ID:oj63shz20
「私にとっては素晴らしい日でも、誰かにとってはそうじゃない。それはわかっていたわ。当たり前のことだもの。だけど、その誰かがアナタだと思うと、なぜか悔しくて、哀しくなって……そう感じてしまった理由を考えると、もっとわからなくなってきて……」
とうとうと夏葉が語る。語り口に合わせて、次第に彼女の目の焦点が合わなくなってきていた。
「……それで、考えがまとまらなくなって……寂しくなって……」
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◆/rHuADhITI
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2019/08/18(日) 02:46:24.33 ID:oj63shz20
「俺は……」
口ごもってしまった。言おうとした言葉を止めたせいか、他に何を言うべきなのかわからなくなっていた。自分が今、幸せなのかどうかも分からない。不幸ではないという後ろ向きな確信だけがある。
思考は相変わらず胡乱なままで、だから、俺は思ったままに行動することにした。
以下略
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