【シャニマス SS】P「プロポーズの暴発」夏葉「賞味期限切れの夢」
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41: ◆/rHuADhITI[saga]
2019/08/18(日) 02:44:49.16 ID:oj63shz20
 その時、俺はどんな顔をしていたのだろうか。怯えた表情を浮かべていたのだろうか。夏葉は俺の顔を覗き込んで、励ますように微笑み、断言した。

「私は今が幸せよ」
 虚ろ気な雰囲気とは逆に、力強い口調だった。

「だから、ぜいたくな不安ね」

 もう一度、観念するかのように夏葉は笑った。愁いを帯びながらも、どこか楽しげだった。
 幸福だからこそ、それが終わってしまうことに恐怖を感じる。夏葉が言いたいのはそういうことなのだろう。ある意味では仕方のない不安だ。だから逃れようもないし、「ぜいたく」でさえある。

「それで……えっと……」
 夏葉が机の上に視線を這わせた。何かを探している。

「アルバムか」
「ええ。もうしまっちゃったかしら……?」
「ちょっと待っててくれ」

 立ち上がり、ソファから離れて、反対側の壁際に向かう。
 アルバムを見ていた場所は壁際の折りたたみテーブルの方だ。当然ソファ周辺にあるわけがない。夏葉の思考能力は、まだ十全には戻っていないようだった。

「……あれ」
 折りたたみテーブルには、アルバムのほかに忘れ物も置かれていた。智代子のスタンプケースだ。俺はグレーのアルバムと共に、その忘れ物も一緒に手に取った。

 手に取った理由は……よくわからない。上手く頭の中で理由が形になってくれなかった。自身の思考能力が低下しているのを感じる。やっぱり夏葉のことをどうこう言えないな、と自嘲した。



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