【シャニマス SS】P「プロポーズの暴発」夏葉「賞味期限切れの夢」
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◆/rHuADhITI
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2019/08/18(日) 02:25:12.84 ID:oj63shz20
「生まれは……いわゆる中流階級ってことになるのかな。中学までは地元で過ごして、高校大学は成績に見合ったところに進んだよ。卒業と同時に一般企業に就職した。そこに二年間勤めた後に、283プロに転職して今に至る」
こんな感じでいいのだろうか、と心の中で疑問符を浮かべた。人生の要約というのは案外難しい。
「成績はよかったの?」
「まあ、そうだな。トップクラスではなかったけど。要領だけは良かったから」
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◆/rHuADhITI
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2019/08/18(日) 02:26:10.63 ID:oj63shz20
「理由は働きすぎだ。休日返上、残業は当たり前で……周囲には過労死まっしぐらに見えていたらしい。それで『どうせ死ぬなら好きな仕事で死になさい』って諭されて、天井社長に紹介された」
その上司は俺がアイドルの世界に興味があることを知っていた。何かと目をかけてくれた人だった。
「それで社長に会って……その時に言われたのが、さっきの『結果主義に囚われやすいものだ』って言葉だ。他にも厳しい言葉や難解な言葉をかけられたよ」
以下略
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◆/rHuADhITI
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2019/08/18(日) 02:26:43.35 ID:oj63shz20
「……マフィンの話になるんだが」
「ええ」
「マフィンってお菓子の中では簡単に作れる方でさ。手軽なんだ。だけど生地を混ぜるときだけは注意が必要で、そこを『ちゃんと』できてないと全てが駄目になってしまう」
「そうなの」
以下略
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◆/rHuADhITI
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2019/08/18(日) 02:27:42.74 ID:oj63shz20
「アイドルに憧れたのは、彼らに『ちゃんと』がなかったからだ」
誤解を恐れずに口にした。アイドルに定まった正解はない。夢を叶えるために道なき道を進もうとする勇者だと、若い時分にはそう思えたのだ。夏葉は「わかるわ」と頷いた。
どんぶりの最後の一口をすくって、俺は懐かしむように笑った。
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◆/rHuADhITI
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2019/08/18(日) 02:28:30.44 ID:oj63shz20
「最初に会った頃は、そんなクセ無かったわよね。……そのクセ、二年くらい前からかしら」
「二年前」
そう言われて強烈に思い当たる節があった。二年前、有栖川夏葉に心底惚れ直す出来事があったのを思い出した。その時の強い印象が、知らず知らずのうちにクセを作っていたに違いない。
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◆/rHuADhITI
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2019/08/18(日) 02:29:03.59 ID:oj63shz20
「学生の頃は日高舞が一押しだったんだ」
さも当然のように言い放った。夏葉は腕を組み、その視線はたちまち凍てついた。上目遣いだったはずなのに、見下ろされているかのような重圧を覚える。
「……へえ、そうなのね、ふぅん」
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◆/rHuADhITI
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2019/08/18(日) 02:29:33.70 ID:oj63shz20
車に戻りエンジンキーを回すと、夏葉の顔が強張った。
カーナビの液晶ディスプレイには次の目的地が表示されている。事務所を出発する前に設定しておいたものだ。すなわちそれは、俺が「結婚しないか」と口にする前に設定された目的地ということになる。
「……あー、行き先変えるか? この近くならショッピングモールとかあるけど」
「いいえ、行くわ。一度決めたことだもの」
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◆/rHuADhITI
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2019/08/18(日) 02:30:27.87 ID:oj63shz20
その教会に着いたのは午後三時をまわった頃だった。
結局、到着するまで夏葉は一言も発さなかった。一時間ほど車に揺られて、その途中の十五分ほどの間に強い通り雨もあったのだが、それでも彼女は沈黙を貫いていた。
「着いたぞ」
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◆/rHuADhITI
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2019/08/18(日) 02:31:26.47 ID:oj63shz20
それは同じ質問だった。かつては答えられなかった質問だ。あの当時は、鐘に込められた意味など、考えたこともなかった。だけど、
「……不幸を追い払って、幸福を呼ぶために。そして遠くの人にも想いが届くように。そういう平和の鐘だ」
「憶えていてくれたのね」
「まあ、な」
以下略
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◆/rHuADhITI
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2019/08/18(日) 02:31:59.10 ID:oj63shz20
「迷うのも、満たされないように感じるのも……結局のところ、夏葉が誰よりもアイドルだった自分を大切にしてきたってことじゃないか」
俺は心からの言葉を口にした。
「夏葉はよくやったよ。今の苦しみも虚しさも、決して悪い物じゃない。むしろ成し遂げたからこそあるものだ」
以下略
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◆/rHuADhITI
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2019/08/18(日) 02:32:34.81 ID:oj63shz20
「わぁー! 本当に夏葉さんなんですね! わぁ! わわぁ! わわわわあっ!」
「喜んでもらえて嬉しいわ」
夏葉が手を差し出すと、小柄なその女性は飛び跳ねでもするように、せわしなく握手に応じた。
「あの、そちらの方は……」
以下略
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