11:名無しNIPPER[saga]
2019/08/14(水) 22:05:31.77 ID:3RPf7FsGO
「カズくんは、明日の予定は? 夏休みなんだよね?」
「今日の幽霊探しの報告を、明日当番のやつのところにしに行くけど。それだけかな」
「一緒に行っても良いかな? 暇があるなら、ついでに島の案内もしてほしいんだけど」
「良いけど……島の中なんて、見て楽しいものなんて特にないよ」
「ううん、そんなことないから。ありがと、楽しみにしてるね」
そう言って、彼女は残ったコーヒーを飲みほした。
「ご馳走様でした。それじゃ、私も部屋に戻るね」
「うん、お休み」
二階にあがる彼女を見送って、コーヒーカップを下げると食器を洗い始めた。
父さんが島外に単身赴任をしている関係で、基本的には母さんと俺の家事は分担制になっている。と言っても、俺の担当はトイレ・風呂の掃除と、食器洗いだけなんだけど。
食器乾燥機に入れてスイッチを押し、俺も寝支度を済ませると自分の部屋に向かった。
隣の客間からはドアの下の隙間から光が漏れていて、彼女がまだ起きているらしいことが分かったが、声はかけずに自室の扉を開けた。
ベッドに潜ってしばらくしても、何だか目が冴えて眠れなかった。この数時間で、色々なことが起き過ぎて興奮しているのかもしれない。寝返りを打ちながらごろごろしていると、客間の側の壁からこつんこつんと音がした。壁をノックしているらしい。
姉弟がいたら、こんな感じだったのかな。
壁をノックし返すと、向こうからまた帰って来た。何度かそのやりとりをしているうちに、その音が心地よくなってきて、気づけば眠りの底に誘われていた。
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