13: ◆v0AXk6cXY2[saga]
2019/08/01(木) 23:20:28.69 ID:FCK0uUJh0
……と、そんなことを思っているうちにふと気づいた。彼女の持っている物。とても、とっても見覚えがある。傷だらけの蒼いケータイ。折れ曲がったワンセグ用のアンテナと、汚れで黒ずんだどこかのご当地キャラのストラップ。
――あれは俺のケータイでは?
好機だ、好機でしかない! そう思って声を掛けようとした瞬間、
「お待たせしました。調べたところ、どうもケータイの落とし物は届いていないですね。申し訳ないのですが、遺失物の届け出を作成しますので、詳しい特徴をお伺いできますか」
奥の部屋へ消えたお巡りさんが、ここぞというタイミングで戻ってくる。目の前の少女に声を掛け損ねた俺は、一瞬にして言葉の吐き出し先を失い、金魚のように二度、三度と口を動かして。
そしてようやく言葉を纏めることが出来た矢先、今度は少女の言葉が俺を遮る。
「あの。落とし物拾ったんですけど……もしかしなくてもこの携帯電話、この人のじゃ」
そうだとも、君のそのケータイは俺のだ。今すぐお礼を言って受け取りたい。思わず手を伸ばしそうになる。
けれどまたしてもその行動は、お巡りさんの言葉で阻害された。うーんままならない。
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