モバP「持たざる者と一人前」
1- 20
14: ◆v0AXk6cXY2[saga]
2019/08/01(木) 23:21:00.56 ID:FCK0uUJh0
「うーん、もしそうだとしても一応規則ですからね。お手数ですけれど、確認と書類を作成しますのでご協力いただけますか」

「……まあ、いいですけど」

「申し訳ありません。ああ、そちらのお兄さんも。ちなみにそちらの方が持っている携帯電話で間違いないですか?」

『えっ? ああ、ええと、はい。たぶん、その合ってます、青のケータイで、ご当地ストラップで。あー、番号とか、言った方がいいですかね。アドレスとかも』

 そしていきなり俺に話を振られたので少ししどろもどろになってしまった。ほんと急に話を振るのはやめてほしい。お巡りさんは人の好さそうな笑みを浮かべると、

「ああ、そこまでしなくても大丈夫です。一応、書類に残すだけですからね。身分証とか、あります?」

 俺にそう尋ねた。

『えっと、免許でいいですか』

 乗ってないけどね。乗る機会もない。お金ないし。

「ああ、はい、結構ですよ。そちらのお嬢さんも、椅子に座ってお待ちください」

 てきぱきと書類作成の準備に取り掛かったお巡りさんに免許を渡しつつ、彼がケータイを受け取るときに合わせてちらり、と彼女の方へと目をやった。

 特に面倒そうな様子も見せず、椅子に座ってさっきまで聞いていただろう音楽プレイヤーをポケットにしまい込んでいる。当然名前なんてわかるはずもない。今時小学生でもあるまいし、名札がついているはずもなくて。

 そうだ、落とし物を見つけた人には一割だか二割だか、お礼を支払う的なことを聞いたことがある。そのどさくさに紛れて――。



<<前のレス[*]次のレス[#]>>
88Res/88.77 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 書[5] 板[3] 1-[1] l20




VIPサービス増築中!
携帯うpろだ|隙間うpろだ
Powered By VIPservice