石動乃絵「しんいちろーのお尻の中にもあぶらむし〜」仲上眞一郎「やめてくれ!」
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10:名無しNIPPER[sage saga]
2019/06/30(日) 23:36:43.42 ID:ZOjUA0V2O
「前にも言ったけれど、あなたは飛べるわ」

そう言われて、過去の記憶が蘇る。
乃絵は眞一郎が空高く飛べると信じていた。
だから、ことあるごとに飛べると言われた。
眞一郎としては、その意味を図りかねていて、まともに取り合ってはいなかったのだが。
ここに来て、その真意を明かされるなんて。

「私はあなたが飛ぶところを、見てみたい」
「乃絵……」
「それが見たくて……いいえ、そうじゃない」

自己否定して、乃絵は自らの望みを口にした。

「私はあなたに飛んで欲しくて、見送ったの」

乃絵は眞一郎に天空高く飛んで欲しかった。
だから、敢えて何も言わずに見送ったのだ。
全ては、眞一郎の為。というと、嘘になる。
ほんのちょっぴりだけ、乃絵の愉悦の為に。
故障したトイレへと向かう彼を、送り出した。

「……そんなこと、言われても」
「あなたなら出来るわ」
「無茶、言うなよ」
「大丈夫。自信を持ちなさい、仲上眞一郎」
「お前に、俺の何がわかるんだよ!?」

眞一郎には、乃絵の期待が重かった。
絵本作家を目指している彼は、つい先日、出版社から不採用の通知を受け取り、自信を失っていたのだ。夢も希望も、全て打ち砕かれた。
そんな自分が飛べる筈ないと、否定すると。

「心配しなくてもいいわ」

突然、乃絵に抱きしめられた。

「私もあなたと一緒に、飛んであげるから」
「へっ?」

それはどういう意味だろうと、首を傾げると。

「んっ……ふあっ」
「……えっ?」

足元に突如、琥珀色の水溜りが、出現した。


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