28: ◆OtiAGlay2E[sage]
2019/06/24(月) 03:58:58.84 ID:v/g2u2sn0
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29: ◆OtiAGlay2E[sage]
2019/06/24(月) 04:00:00.19 ID:v/g2u2sn0
それは週末の放課後、月曜日までの課題を教室に置いてきてしまったことに気づき、一人教室に戻っていたときのことだった。
教室の前まで着くと、まだ教室に誰かが残っていることに気がづいた。
陽もだいぶ落ちて、明かりのついていない教室は影に覆われていたが、窓側の席は夕日に照らされてそこに人がいることを示していた。
30: ◆OtiAGlay2E[sage]
2019/06/24(月) 04:00:32.33 ID:v/g2u2sn0
しばらくすると佐竹さんも立ち上がった。何かを話しているようだったけど、ドア越しにはその内容はわからなかった。
そして見てしまった。涙を、佐竹さんが肩をふるわせて涙を流す姿を。
どうやらほかの二人も泣いているようで、三人は肩を抱き合って涙を流していた。
31: ◆OtiAGlay2E[sage]
2019/06/24(月) 04:00:59.10 ID:v/g2u2sn0
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32: ◆OtiAGlay2E[sage]
2019/06/24(月) 04:01:42.08 ID:v/g2u2sn0
「美奈子ちゃんおめでとう!」
「みなちゃん、応援するよ!」
33: ◆OtiAGlay2E[sage]
2019/06/24(月) 04:03:10.31 ID:v/g2u2sn0
なんだ、結局僕は何もわかってなかったんじゃないか。馬鹿だ、とんだ大馬鹿者だ。
なにが佐竹さんと親しくなれているだ。
僕たちはあくまでも同級生で、佐竹飯店に通う常連客と看板娘で、それ以上でもそれ以下でもないじゃないか。
34: ◆OtiAGlay2E[sage]
2019/06/24(月) 04:03:36.32 ID:v/g2u2sn0
「おめでとう!」
でも、だから僕は祝う。佐竹さんの夢がかなったことを。
同級生として、佐竹飯店の常連客として、佐竹飯店のアイドルのファンだった一人として。
35: ◆OtiAGlay2E[sage]
2019/06/24(月) 04:04:02.31 ID:v/g2u2sn0
「いいのか坊主?」
隣にいた八百屋のおじさんが僕のことを気遣ってか聞いてくる。いつになく真剣な顔だった。
なにについてかは聞かなくてもわかる。
36: ◆OtiAGlay2E[sage]
2019/06/24(月) 04:04:39.18 ID:v/g2u2sn0
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37: ◆OtiAGlay2E[sage]
2019/06/24(月) 04:05:36.30 ID:v/g2u2sn0
アイドルになった佐竹さんを僕たちは変わらず応援している。ほかの常連客も一緒だ。
みんなで集まって店で佐竹さんが出る番組を見ることもあった。近所の人なんかはこぞって店に来るからさながら大応援団のようだった。
当然、店に出ている佐竹さんはみんなからかわいいだのなんだのと口々に言われるから顔を真っ赤にすることになる。
38: ◆OtiAGlay2E[sage]
2019/06/24(月) 04:06:05.94 ID:v/g2u2sn0
夜六時半、今日も僕は佐竹飯店にいた。
例のごとく佐竹さんが出演する番組があるのでみんなで見ようとのことだった。
店内は近所の人たちや、近くの工事現場で働いてる人たちといった常連客でいっぱいだった。
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