1: ◆ukgSfceGys[saga]
2019/06/18(火) 21:17:29.88 ID:tLeGcQVf0
モバマスSS。地の文形式。
公式と若干違う設定&過去捏造があるので注意。
次から投稿していきます。
SSWiki : ss.vip2ch.com
2: ◆ukgSfceGys[saga]
2019/06/18(火) 21:18:53.17 ID:tLeGcQVf0
◆◇◆
──だが神は死んだ!(フリードリヒ・ニーチェ 1844 - 1900)
3: ◆ukgSfceGys[saga]
2019/06/18(火) 21:19:37.99 ID:tLeGcQVf0
◆◇◆
「ねぇ奈緒? カミサマっていると思う?」
4: ◆ukgSfceGys[saga]
2019/06/18(火) 21:20:31.43 ID:tLeGcQVf0
今日は奈緒、凛と一緒に取材のお仕事。それまでまだ少し時間があり、こうして三人で事務所に待機している。
そんな空き時間に読んでたファッション誌を片手に私はそんなことを奈緒に問う。
「どうしたんだ? いきなりそんな話して」
5: ◆ukgSfceGys[saga]
2019/06/18(火) 21:21:19.48 ID:tLeGcQVf0
私はカミサマを信じない。自分の持ち歌で『神様がくれた時間』とか歌っておきながら、カミサマの存在なんてちっとも信じちゃいない。
だってカミサマがいるなら……。何でも救ってくれるはずのカミサマがいるのなら──
──どうしてあの子はあの病院から出ることなく死んじゃったの? 神は越えられない試練は与えないっていうのに──
6: ◆ukgSfceGys[saga]
2019/06/18(火) 21:22:06.00 ID:tLeGcQVf0
◆◇◆
奈緒への質問をきっかけとして、私はなんとなく気になってきたことを他の人に聞きまわることにした。
つまりは『みんなはカミサマを信じているの?』ってこと。
7: ◆ukgSfceGys[saga]
2019/06/18(火) 21:22:42.15 ID:tLeGcQVf0
「神様の存在ですか〜? それはもう信じてますよ〜」
8: ◆ukgSfceGys[saga]
2019/06/18(火) 21:23:23.82 ID:tLeGcQVf0
聞く人皆を安心させるような、そんなおっとりした声でそう答える彼女。まぁこの人に聞いたら、そりゃ当然こう答えるよね。
幸運の化身。あるいは女神様。昔は『仕込みネタでしょ?』と揶揄されてたけど、今やそんな軽率な言葉は一切聞こえなくなった、そんなアイドル。
それくらい自身と周りに幸運を巻き起こすアイドル、鷹富士茄子さん。
9: ◆ukgSfceGys[saga]
2019/06/18(火) 21:24:21.36 ID:tLeGcQVf0
「ですが……」
考え事をしている間に、茄子さんはそう言って言葉を続ける。
10: ◆ukgSfceGys[saga]
2019/06/18(火) 21:24:51.13 ID:tLeGcQVf0
「──今の幸運が……今の幸せが……全部神様の掌の上なんて少し悲しいじゃないですか。ちょっとは自分の手柄にしたいものですよ。『私の頑張りが報われた』ってことの方が、只の幸運なんかよりも、ずっとずっと嬉しいじゃないですか」
11: ◆ukgSfceGys[saga]
2019/06/18(火) 21:25:18.20 ID:tLeGcQVf0
そんな風におどけて見せる茄子さん。そう言い切った顔は普段は滅多に見ることのできない小悪魔みたいな顔だった。
カミサマも悪魔も味方につけるなんて、どうやったってこの方面では茄子さんに勝てなさそう……。
そんな風に思った茄子さんとのお話だった。
12: ◆ukgSfceGys[saga]
2019/06/18(火) 21:26:01.72 ID:tLeGcQVf0
◆◇◆
正直茄子さんがあんなこと思ってるなんて意外だった……。あれだけ"カミサマ"に愛されたような人なら、全肯定するかと思ったのに……。
じゃあそれなら彼女はなんていうのだろうか? 茄子さんとはある意味真逆なあの娘は?
13: ◆ukgSfceGys[saga]
2019/06/18(火) 21:26:28.10 ID:tLeGcQVf0
「え? 神様ですか?」
14: ◆ukgSfceGys[saga]
2019/06/18(火) 21:27:11.82 ID:tLeGcQVf0
ほたるちゃんは少し驚いた表情をする。
そりゃそうだろうね。今まではアイドル活動やファッションの話ばっかりしてたのに、急にこんな話題が出てきたらビックリするに決まってる。少なくとも私だったら何度か聞き直しちゃう。
「うーんと……そうですね……」
15: ◆ukgSfceGys[saga]
2019/06/18(火) 21:27:38.78 ID:tLeGcQVf0
「でも、それを言い訳にしたくありません」
16: ◆ukgSfceGys[saga]
2019/06/18(火) 21:28:53.22 ID:tLeGcQVf0
そんな笑顔のまま、きっぱりとほたるちゃんは言い放った。まるで目の前にいるカミサマに対して宣言するように。
「いや、確かに挫けそうになる時だって当然ありますけど……。それでも私はアイドル活動において、不運を言い訳にしたくありません」
17: ◆ukgSfceGys[saga]
2019/06/18(火) 21:29:29.54 ID:tLeGcQVf0
◆◇◆
幸運に愛された茄子さん。
不幸に愛されてしまったほたるちゃん。
18: ◆ukgSfceGys[saga]
2019/06/18(火) 21:30:05.82 ID:tLeGcQVf0
「神様ですかぁ? もちろん信じてますよ」
19: ◆ukgSfceGys[saga]
2019/06/18(火) 21:31:21.83 ID:tLeGcQVf0
「へー……。『運命の出会いなんて信じてなかった』なんて持ち歌で歌ってるクセに?」
「ですから謝ってるじゃないですか、『神様ごめんね』って。……というか加蓮ちゃんだって歌ってるじゃないですか、『神様がくれた時間』って」
20: ◆ukgSfceGys[saga]
2019/06/18(火) 21:32:39.06 ID:tLeGcQVf0
「加蓮ちゃんは信じないんですか? 憧れのアイドルになれたきっかけを。加蓮ちゃんのプロデューサーさんとの出会いを。それを神様が演出してくれたってことを」
「うーん……」
21: ◆ukgSfceGys[saga]
2019/06/18(火) 21:33:14.22 ID:tLeGcQVf0
「だから、この全てが運命だなんてイヤ。少なくとも私は"運命"っていう言葉で済ませたくない」
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