加蓮「カミサマなんて信じない」
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14: ◆ukgSfceGys[saga]
2019/06/18(火) 21:27:11.82 ID:tLeGcQVf0
 
 ほたるちゃんは少し驚いた表情をする。
 そりゃそうだろうね。今まではアイドル活動やファッションの話ばっかりしてたのに、急にこんな話題が出てきたらビックリするに決まってる。少なくとも私だったら何度か聞き直しちゃう。

「うーんと……そうですね……」

 随分と歯切れの悪そうな声。答えがないというより、『答えてしまっていいのか?』といった迷いをその声色に感じる。
 大丈夫だよ。私、酷いことは結構言い慣れてるし、言われ慣れてるから。
 そんな脳内の考えがサイキックで伝わったのかほたるちゃんはおずおずとしながら口火を切り出した。

「あの……? 加蓮さんって私の噂は知ってるんですよねぇ……?」

「えーっと……うん、知ってるよ」

 ほたるちゃんの噂。
 曰く、不幸に愛されてる。
 曰く、所属したプロダクションは倒産する。
 曰く、自分だけでなく関わった他人まで不幸にする。
 曰く、疫病神である。

 ちょっと聞くだけでもこんな感じ。きっと本人はもっと色んなことを言われてるだろうし、言われてきたんだろう。
 前回質問した茄子さんとはホント真逆に言われている、そんなほたるちゃん。さて、彼女はなんていうんだろうか?

「知っていて、敢えて聞くなんて……加蓮さんって結構ひどい人なんですね」

 そう切り返してくるほたるちゃん。酷いことを言われ慣れてるとはいったものの、ホントに『酷い』と言われるとは思わなかった。やるな、ほたるちゃん。

 でも、ほたるちゃんの顔は言葉に似合わず穏やかな笑顔で……。もしカミサマがいたらつい加護したくなるような、そんな素敵な笑みだった。

「そうですね、前にやったファンタジーのお仕事で『神よ、足だけは引っ張らないで』なんて言ったことがありますけど」

 いわゆる闇落ちしたような騎士を演じた時の話だろう。いやー、あの時は雰囲気出てたよねー。普段のほたるちゃんを知ってるはずなのに、その演技を見るだけで思わず身構えちゃった。

「そう、だからきっと、多分神様っているんでしょうね。信じる、信じないというより、いるんじゃないかなって思うだけですけど」

 信じる信じない、じゃなくて、いるいないっていう次元の話か。結構ハードな経験をしないと出てこない発想だよね。

「だってこれだけ不幸に見舞われる私ですよ。神様の存在なんて信じたくなくても、いるんじゃないかって思いたくなりますもん」

 まぁ神様と言っても疫病神とかでしょうけど、と付け加えるほたるちゃん。
 そんな酷いことを言う割に結構楽しそうな表情している。私も結構ハードな経験ある方だと思っていたけど、一体どんだけの経験をすればこんな風に笑ってそんなことが言えるんだろう。



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