171: ◆on5CJtpVEE[saga]
2019/06/20(木) 02:10:05.68 ID:l0zubfjX0
謝って項垂れる兄ちゃんを見て、真美はなんとなく分かった。
「俺は、知ってたんだ」
172: ◆on5CJtpVEE[saga]
2019/06/20(木) 02:10:45.74 ID:l0zubfjX0
「真美の想いを知ってて、踏みにじったんだ、俺は」
兄ちゃんはゆっくりとゆっくりと、自分を締め付けていく。
173: ◆on5CJtpVEE[saga]
2019/06/20(木) 02:11:13.61 ID:l0zubfjX0
「兄ちゃん、震えてる」
「あ……本当だ。情けないな……」
174: ◆on5CJtpVEE[saga]
2019/06/20(木) 02:11:47.69 ID:l0zubfjX0
「本気だったんだな、真美は」
「うん、そーだよ」
175: ◆on5CJtpVEE[saga]
2019/06/20(木) 02:12:19.01 ID:l0zubfjX0
「そんな大切なものを弄んだのに」
兄ちゃんの声が、また少し震えた。
176: ◆on5CJtpVEE[saga]
2019/06/20(木) 02:13:22.91 ID:l0zubfjX0
でも、今は違う。
兄ちゃんは、真美のことを見てくれてる。
177: ◆on5CJtpVEE[saga]
2019/06/20(木) 02:13:51.15 ID:l0zubfjX0
「それに最初からね、真美が兄ちゃんのこと、怒れるわけないじゃん」
兄ちゃんを抱きしめたまま上を見ると、繁華街の明かりは見えない。
178: ◆on5CJtpVEE[saga]
2019/06/20(木) 02:14:23.70 ID:l0zubfjX0
目を閉じると。
179: ◆on5CJtpVEE[saga]
2019/06/20(木) 02:15:01.39 ID:l0zubfjX0
兄ちゃんの手に、もっと力が入る。
ちょっと痛いよ、兄ちゃん……。
180: ◆on5CJtpVEE[saga]
2019/06/20(木) 02:15:33.60 ID:l0zubfjX0
――どれくらい経ったかな。
兄ちゃんがやっと落ち着いて、鼻をすすりながら真美の方を見た。
181: ◆on5CJtpVEE[saga]
2019/06/20(木) 02:16:23.71 ID:l0zubfjX0
「返事はいらないよ、兄ちゃん」
「でも、お前……」
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