【たぬき】高垣楓「迷子のクロと歌わないカナリヤのビート」
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170
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◆DAC.3Z2hLk
[sage saga]
2019/07/27(土) 16:07:47.95 ID:aiDwMVos0
風が逆巻く。
遥か頭上の木々が一斉にざわめき、黒い紅葉を雲霞のように吹き散らした。
以下略
AAS
171
:
◆DAC.3Z2hLk
[sage saga]
2019/07/27(土) 16:08:51.47 ID:aiDwMVos0
「待ってくれ。だったら、外のことはどうなる!?」
「なぜ気にするんです? 目を背けていたんでしょう? 諦めたような顔をして、ほんとは何一つ諦められないのに」
「それは、自分の身の程を知っていたから……!」
「本当は怖かったんですよね。あなたにも古い傷があるんですよね? 触れることすら痛いから、ごまかすことしかできなかったんですよね」
以下略
AAS
172
:
◆DAC.3Z2hLk
[sage saga]
2019/07/27(土) 16:09:33.09 ID:aiDwMVos0
違う。
嫌だ。やめろ。やめてくれ。
こんなものは安らぎじゃない。ここにいてはいけない。
以下略
AAS
173
:
◆DAC.3Z2hLk
[sage saga]
2019/07/27(土) 16:12:28.83 ID:aiDwMVos0
◆◆◆◆
細い雨が降っていた。
以下略
AAS
174
:
◆DAC.3Z2hLk
[sage saga]
2019/07/27(土) 16:13:37.77 ID:aiDwMVos0
「何が……起こって……」
「彼女に会ったんですね。……ごめんなさい。私の責任です。抑えることが、できませんでした」
以下略
AAS
175
:
◆DAC.3Z2hLk
[sage saga]
2019/07/27(土) 16:14:35.44 ID:aiDwMVos0
◆◆◆◆
以下略
AAS
176
:
◆DAC.3Z2hLk
[sage saga]
2019/07/27(土) 16:15:49.53 ID:aiDwMVos0
かつてこの道を切り開いたのは、厳しい苦行の道を修めた山伏たちでした。
それが時代を経るにつれて整えられ、市井の人々、あるいはやんごとなき身分の方々も詣でるようになったそうです。
山伏たちは熊野を重要拠点とし、彼ら独自の文化と勢力を築き上げていきました。
以下略
AAS
177
:
◆DAC.3Z2hLk
[sage saga]
2019/07/27(土) 16:16:46.43 ID:aiDwMVos0
熊野古道には参詣者が数多く訪れますから、彼らを導く役目は必要です。
高垣は代々その任を担い、熊野の地に親しみ、栄えてきました。
……もっとも、それも室町時代の中期ごろまでの話です。
以下略
AAS
178
:
◆DAC.3Z2hLk
[sage saga]
2019/07/27(土) 16:17:47.53 ID:aiDwMVos0
結論はこうです。
神を造ろう、と。
以下略
AAS
179
:
◆DAC.3Z2hLk
[sage saga]
2019/07/27(土) 16:19:20.00 ID:aiDwMVos0
神仏習合にて「権現」と呼び称されるようになった熊野の祭神ですが、紀伊山地はそれ以前から神秘の場所。
人々の宗教体系からは外れた「まつろわぬ神々」もまた存在します。
高垣は人の身でありながらその輪に加わり、異界の加護を受けようというのです。
以下略
AAS
180
:
◆DAC.3Z2hLk
[sage saga]
2019/07/27(土) 16:21:24.88 ID:aiDwMVos0
……「熊野」の語源は「隈野」、すなわち「地の果て」を意味します。
伊勢が表とすれば熊野は裏、死者の国。古来より霊魂が集まる場所とされてきました。
遺体を山岳の麓に葬った時、魂は山を登り、頂に到達して神となる――そうした山岳信仰が由来となっています。
以下略
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