【たぬき】高垣楓「迷子のクロと歌わないカナリヤのビート」
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171: ◆DAC.3Z2hLk[sage saga]
2019/07/27(土) 16:08:51.47 ID:aiDwMVos0

「待ってくれ。だったら、外のことはどうなる!?」
「なぜ気にするんです? 目を背けていたんでしょう? 諦めたような顔をして、ほんとは何一つ諦められないのに」
「それは、自分の身の程を知っていたから……!」
「本当は怖かったんですよね。あなたにも古い傷があるんですよね? 触れることすら痛いから、ごまかすことしかできなかったんですよね」
「違う!! 俺は、俺はあいつみたいになりたくなかっただけだ!!」

「ほら」

 笑顔。

 モノクロームの薄闇の中、ぼうっと浮かび上がる青色の燐光。

「あなたも、可哀想な人だから。見たくないものを見続けてしまうから。
 ……だから私が、代わりにその目を塞いであげるんですよ」

 手が伸びる。ぞっとするほど冷たい掌が俺の頬を撫で、目を塞ぐと、闇。
 深い闇。
 安堵する闇。

 笑い声だけが思考を埋める。鼻歌が聞こえる。すべてを忘れ去った時、そこにあるのは安息だろうか。




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